大阪市営地下鉄四つ橋線の延伸(未成線)

概要

3号線を堺市内まで延伸する計画。かつて阪堺電鉄(新阪堺)が運行し、1944年に大阪市が買収した路面電車(芦原橋~浜寺)のルートの一部を踏襲する。

大阪市は1927年6月4日に1号線(御堂筋線)など地下鉄4路線の特許を受けて、順次工事に着手。このうち3号線は大国町~玉出間の特許を受け、その後玉出~北島間も都市計画決定のみ行われた。しかし不況や戦争の影響で計画は進まず、1942年5月10日に大国町~花園町間のみ開業した。

戦後になると、3号線の計画ルートが南海電気鉄道本線に近すぎること、また臨海地域の開発と発展が予想されることなどの理由から、大阪市は玉出以南のルートを西側に移して堺市内に入るルートに変更することとし、1948年6月18日に高速鉄道路線網の計画変更を決定して同年9月に玉出~大浜間の特許を申請。しかし、大阪都心部への乗り入れを図ろうとする関西圏の各私鉄と、市内交通の市営一元化を主張する大阪市の対立により鉄軌道の免特許審査が停滞し、申請から10年後の1958年3月28日に答申された都市交通審議会第3号を受け、1959年2月にようやく特許が下りた。

その後、1972年11月9日には住之江公園まで開業するが、堺市内に入る区間は未着工のまま実質凍結状態となり、1989年5月31日の運輸政策審議会第10号答申でも除外された。

その後、堺市は1994年ごろから市内の臨海部と中心市街地を結ぶ東西鉄軌道の整備を構想。1990年代末期には導入機種としてLRTを想定し、全体の整備区間を広域防災拠点~堺浜~堺駅前西口~堺駅前東口~堺東駅前~堺市駅間とした。これにより四つ橋線の計画は事実上消滅。2004年3月末に四つ橋線の工事施行認可申請期限を迎えた際、大阪市が申請期限の延長を申請しなかったことから軌道特許も失効した。

堺市は東西鉄軌道の当面の整備区間を堺駅前東口~堺東駅前間とし、続いて堺浜~堺駅前西口間も早期に着手する方向で準備を進めていたが、2009年9月に就任した新市長が堺駅前東口~堺東駅前間の着工中止と堺浜~堺駅前西口間の見直しを表明。同時に四つ橋線の堺市方面への延伸構想を中長期的な観点から改めて打ち出している。

データ

事業者大阪市交通局
線名3号線<四つ橋線> ※延伸
区間・駅(住之江~大浜)
距離3.2km
種別軌道事業
種類軌道
軌間1435mm
電化方式直流750V(第三軌条式)
単線・複線複線

手続き年表

1948/09/02軌道事業特許申請
1959/02/23軌道事業特許
2004/04/01工事施行認可申請期限切れにより特許失効