阿佐線は、四国循環鉄道の東側を構成するはずだった国鉄新線。高知県から徳島県にかけて海岸沿いに敷設される計画だった。室戸を境に高知県側が「阿佐西線」、徳島県側が「阿佐東線」と呼ばれることもある。
概要

1922年の改正鉄道敷設法で後免~安芸~日和佐~古庄が予定線に指定された。徳島県側は国鉄牟岐線として建設され、1936年3月27日に羽ノ浦(古庄駅の一つ手前)~桑野、1937年6月27日に桑野~阿波福井、1939年12月14日に阿波福井~日和佐間、1942年7月1日に日和佐~牟岐間が順次開業している。
高知県側では高知鉄道(のちの土佐電気鉄道安芸線)が予定線と同じルートの鉄道路線を建設。1924年12月8日に後免(現在の後免町)~手結、1926年4月11日に後免~後免町、1930年4月1日に手結~安芸間が順次開業している。
残りの区間は四国東部循環線として1957年4月に国鉄の調査線に編入され、1959年11月には工事線に昇格。徳島県側の牟岐~海部~甲浦~野根と高知県側の後免~安芸~田野で用地買収が進められた。
1964年3月23日の鉄道公団発足に伴い同線の建設事業が鉄道公団に移管されることになり、同年4月22日の基本計画指示で後免~安芸~田野~奈半利~室戸~野根~甲浦~海部~阿波海南~牟岐が阿佐線として鉄道公団の工事線に編入された。
1965年3月8日に阿佐西線の安芸~田野と阿佐東線の牟岐~阿波海南が工事実施計画の認可を受けて同年3月26日に着工。続いて1971年7月19日には阿佐西線の田野~奈半利~室戸と阿佐東線の阿波海南~海部~甲浦~野根が工事実施計画認可を受けた。
阿佐東線の阿波海南~海部~甲浦~野根は1971年10月1日に着工し、1973年10月1日には阿佐東線の牟岐~阿波海南~海部間が牟岐線の延伸部として開業した。また、阿佐西線の後免~安芸は土佐電気鉄道安芸線の廃止(1974年10月1日)に伴い同線の廃線敷を一部転用して建設することになり、1974年4月24日に工事実施計画認可を受けている。しかし1980年の国鉄再建法の公布にあわせて工事は凍結された。
その後、用地買収や路盤工事が比較的進んでいた阿佐西線の後免~安芸~田野~奈半利と阿佐東線の海部~甲浦は、第三セクターによる経営引き受けを条件に工事を再開。まず1992年3月26日に海部~甲浦が阿佐海岸鉄道の阿佐東線として開業した。2002年7月1日には後免~奈半利が土佐くろしお鉄道の阿佐線(ごめん・なはり線)として開業している。
データ
※未成区間のみ
■全体
線名:阿佐線
営業:日本国有鉄道
建設:日本鉄道建設公団
区間:甲浦~奈半利
距離:約105km
軌間:1067mm
動力:非電化
単複:単線
種別:丙種
■阿佐東線(甲浦~野根)
区間・駅:甲浦~野根
距離:5.1km
■阿佐東線(野根~室戸)
区間:野根~室戸
■阿佐西線(奈半利~室戸)
区間・駅:奈半利~土佐羽根~吉良川~室戸
距離:20.3km
手続き
※未成区間のみ
1922年4月11日:予定線指定
1957年4月3日:調査線指定
1959年11月9日:工事線指定
1964年4月22日:鉄道公団工事線指定
1971年6月17日:国鉄協議済み(甲浦~野根・室戸~奈半利)
1971年7月19日:工事実施計画認可(甲浦~野根・室戸~奈半利)
1971年10月1日:工事着手(甲浦~野根)