高千穂線の延伸:高千穂~高森

高千穂線の延伸は、国鉄高千穂線(のちの高千穂鉄道高千穂線)を延伸して国鉄高森線(現在の南阿蘇鉄道高森線)と接続し、宮崎県と熊本県を結ぶ九州横断鉄道を構成する計画だった国鉄新線。

概要

高千穂線の未成区間のルート。【作成:未来鉄道データベース】

1922年に制定された改正鉄道敷設法で「熊本県高森ヨリ宮崎県三田井ヲ経テ延岡ニ至ル鉄道」が予定線に編入され、当時すでに開業していた宮地軽便線(現在の豊肥本線)の熊本~立野や、工事中だった宮地線支線の立野~高森(現在の南阿蘇鉄道高森線)とともに、熊本と延岡を直結する路線として計画された。

工事は延岡側から高森方面へ進む形で始まり、1935年2月20日に延岡~日向岡元が日ノ影線として開業。その後順次延伸されて1939年10月11日までに延岡~日ノ影(ちの日之影温泉)が開業した。日ノ影から先は日中戦争や太平洋戦争の影響で工事が中断する。

戦後は1964年に発足した鉄道公団の工事線として基本計画に組み入れられた。工事は日ノ影線の延伸となる日ノ影~高千穂が先行し、1972年に開業。同時に延岡~高千穂の線名を高千穂線に改めた。残る高千穂~高森間は1973年3月の工事実施計画認可を経て同年12に着工した。

工事は高千穂・高森の両側から進められ、高千穂側は高千穂~田原間の路盤工事がほぼ完成。一方で高森側では高森トンネルの掘削中に突き当たった地下水脈からの異常出水で沿線の水道水が断水する事態となり、工事が中断してしまう。

このためルートの変更も検討されたが、1980年12月の国鉄再建法の公布に伴い、高千穂線の既開業区間と高森線が特定地方交通線に指定されて廃止対象に。両線を結ぶ高千穂~高森の未開業区間も建設予算が凍結された。

1986年には第三セクターの南阿蘇鉄道が高森線を経営を引き継いで存続。高千穂線の既開業区間も第三セクターの高千穂鉄道が1989年に経営を引き継いだが、厳しい経営が続いて存廃問題が浮上していた2005年9月、水害で橋梁や路盤が流失するなど甚大な被害が発生。2008年までに廃止された。

データ

※未成区間のみ
線名:高千穂線
営業:日本国有鉄道
建設:日本鉄道建設公団
区間・駅:高千穂~上野~田原~河内~日向泊~高森
距離:23.0km
軌間:1067mm
動力:非電化
単複:単線
種別:丙種

手続き

※未成区間のみ
1922年4月11日:予定線指定
1961年5月12日:調査線指定
1962年5月31日:工事線指定
1964年4月22日:鉄道公団工事線指定
1973年3月15日:国鉄協議済み
1973年3月29日:工事実施計画認可
1973年12月5日:工事着手