近鉄けいはんな線の延伸:学研奈良登美ヶ丘~高の原・新祝園など

近鉄けいはんな線の延伸は、京都府や奈良県などの構想。近鉄が運営するけいはんな線(京阪奈新線)を学研奈良登美ヶ丘駅から東側に延伸する。関西文化学術研究都市(関西学研都市)など鉄道空白地帯の解消や、近鉄京都線との接続による乗り継ぎ利便性の向上を図る。

ルート

近鉄けいはんな線の既開業区間(太黒)と延伸の想定ルート(青=高の原ルート、赤=新祝園ルート)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

高の原ルートと新祝園ルートの2ルートが考えられている。いずれも詳細なルートは確定していない。

京都府精華町が2021年3月にまとめた調査結果の報告によると、高の原ルートは学研奈良登美ヶ丘駅から東へほぼまっすぐ進み、近鉄京都線の高の原駅に連絡。中間の乾谷地区に駅を設ける。

新祝園ルートは、学研奈良登美ヶ丘駅から関西学研都市中心部のけいはんなプラザ付近を経由し、精華大通りに沿って近鉄京都線の新祝園駅に至る。学研奈良登美ヶ丘~けいなんなプラザ付近は町道柘榴東畑線沿いと府道奈良精華線沿いの2案を設定し、町道柘榴東畑線沿いを最有力としている。中間駅は町道柘榴東畑線沿いルートの場合、精華光台とけいはんなプラザ付近、祝園ニュータウンの3カ所に設ける。

このほか、高の原ルートを高の原駅からさらに木津方面へ延伸する構想もある。

運行計画

運行計画は未定。現在のけいはんな線の列車の運行区間を拡大して乗り入れさせることが考えられる。学研奈良登美ヶ丘~京都の移動時間は新祝園ルートの利用により20分短縮するとみられる。

精華町の調査報告では、けいはんな線と近鉄京都線の相互乗り入れも想定している。両線の軌間は同じ1435mmだが、集電方式はけいはんな線が第三軌条方式、近鉄京都線が架空電車線方式と異なるため、直通運行する場合は近鉄が研究している第三軌条・架空電車線両用の車両を導入する必要がある。

事業方式

事業方式は未定。精華町の2021年3月の調査報告によると、概算事業費は新祝園ルートが約570億円、高の原ルートが約350億円。

開業時期

開業時期は未定で事業化のめども立っていない。2004年の近畿地方交通審議会答申第8号では、新祝園ルートの全線と高の原ルートの学研奈良登美ヶ丘~高の原を「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」として位置付けたが、整備する場合はどちらか一方を優先整備することを求めている。高の原ルートの高の原~木津方面は答申には盛り込まれなかった。

データ

■新祝園ルート(町道柘榴東畑線沿い)

※精華町『京阪奈新線新祝園ルート延伸事業化調査報告書』(2021年3月)など

区間・駅:学研奈良登美ヶ丘~精華光台~学研中央(けいはんなプラザ付近)~祝園NT~新祝園
距離:6.2km

■高の原ルート(1)

※精華町『京阪奈新線新祝園ルート延伸事業化調査報告書』(2021年3月)など

区間・駅:学研奈良登美ヶ丘~乾谷~高の原
距離:3.8km

■高の原ルート(2)

区間:高の原~木津方面
距離:4.8km