越美線は、福井県(越前)と岐阜県(美濃)を結ぶはずだった国鉄線。県境部の山岳区間が未開業のまま計画が中止された。
ルート

未成区間は福井県側の現在のJR越美北線の終点・九頭竜湖駅から、岐阜県側の現在の長良川鉄道越美南線の終点・北濃駅まで。ルートは決まっていなかった。
現在の福井県道・岐阜県道127号白山中居神社朝日線~岐阜県道314号石徹白前谷線に沿って現在の岐阜県郡上市白鳥町石徹白を経由する案や、現在の国道158号に沿って油坂峠を越える案などが検討されていた。岐阜側は北濃駅に接続する案のほか、同駅の手前の美濃白鳥駅に接続する案もあった。
経緯
大正期に構想が浮上。1919年に太田~八幡~大野~福井を結ぶ鉄道が帝国議会で建議され、1920年に予算が通過した。1922年の改正鉄道敷設法公布で同法の予定線とみなされて岐阜側から着工。1934年までに美濃太田~北濃が国鉄越美南線として開業した。
続いて福井県側が1935年以降に着工。戦争の影響による中断を経て戦後の1956年から改めて工事に着手し、1960年に南福井~勝原が国鉄越美北線として開業した。勝原~九頭竜湖は1964年に発足した鉄道公団が計画を引き継ぎ、1972年に開業した。
残る九頭竜湖~北濃も1978年に鉄道公団の工事線として指定されたが、1980年公布の国鉄再建法の趣旨に準じる形で凍結。工事実施計画が未認可のまま計画が消滅した。
越美南線も1984年、国鉄再建法に基づき廃止対象(第2次特定地方交通線)に指定。第三セクター化で存続を図ることになり、1986年から長良川鉄道が運営している。越美北線は1987年の国鉄分割民営化でJR西日本が引き継いだ。
データ
※未成区間のみ
線名:越美線
営業:日本国有鉄道
建設:日本鉄道建設公団
区間:九頭竜湖~北濃
距離:約24km
軌間:1067mm
動力:非電化
単複:単線
種別:丙種
手続き
※未成区間のみ
1922年4月11日:※みなし予定線
1978年12月2日:鉄道公団工事線指定