千葉県営鉄道北千葉線は、千葉ニュータウンと東京都心部を結ぶ鉄道路線として計画された鉄道路線。
概要

千葉県北部の北総台地に広がる千葉ニュータウンは1960年代に構想され、1967年2月から用地買収を開始。1969年5月に新市街地開発事業として国の認可を受けて造成工事に着手する。
これに伴いニュータウンのアクセス交通機関となる鉄道の建設も検討され、千葉県は東京都営地下鉄10号線(都営新宿線)を千葉ニュータウン方面へ伸ばす路線を計画。また京成電鉄も都営地下鉄1号線(都営浅草線)方面から千葉ニュータウン方面へ伸びる路線の建設を計画した。
1972年3月1日には都市交通審議会の第15号答申が策定され、1号線ルートは京成高砂駅から千葉ニュータウン小室地区への延伸、10号線ルートは東大島から千葉ニュータウン印旛地区への延伸がそれぞれ盛り込まれた。このうち10号線ルートは東大島~本八幡を都営新宿線の延伸部として東京都が建設し、本八幡以遠は千葉県が整備する県営鉄道の北千葉線として整備することになった。
1973年10月に東京都が東大島~本八幡、千葉県が本八幡~新鎌ヶ谷~小室~千葉ニュータウン中央~印旛松虫(現在の印旛日本医大)の地方鉄道免許を取得。1号線ルートは京成の関連会社として設立された北総開発鉄道(現在の北総鉄道)が京成高砂~小室の地方鉄道免許を取得した。
10号線ルートはオイルショックに伴う物価の高騰などから全線を一括で整備するのが困難になったため、当面は小室~千葉ニュータウン中央を整備して1号線ルートの北総開発鉄道に暫定的に乗り入れることになり、1974年6月1日に同区間の工事施行認可を受けて同年8月に着工した。
なお、軌間が1号線ルート(1435mm)と10号線ルート(1372mm)で異なるため、小室~千葉ニュータウン中央は1435mm軌間の単線で敷設。本八幡~小室の開業時に1372mm軌間の単線を併設し、最終的には1435mm単線も改軌して1372mm複線にする計画だった。
しかし、千葉ニュータウンは用地取得費用の膨張などにより開発が進まず、北千葉線自体も事業費の膨張などの問題を抱えた。このため、1978年に宅地開発公団(後の住宅・都市整備公団、都市基盤整備公団、現在のUR都市機構)がニュータウン事業に参画することになり、同年4月に北千葉線・小室~印旛松虫の計画を引き継いだ。
小室~印旛松虫は1984年から2000年にかけ開業。当初から1435mmの複線で整備されて北総開発鉄道に乗り入れており、現在は京成系列の千葉ニュータウン鉄道が線路施設を保有し、北総鉄道が千葉ニュータウン鉄道から線路施設を借り受けて北総線の一部として運営している。
一方、北千葉線の本八幡~小室は建設事業そのものが凍結。1985年7月に策定された運輸政策審議会の答申第7号答申にも盛り込まれなかった。1992年には北総開発鉄道に並行しない本八幡~新鎌ヶ谷のみ第三セクター方式で事業を再開する方針が地元自治体によって示された。
しかし、財源や採算性などの問題から具体化に向けての動きは進まず、2000年8月に与党の公共事業見直しの一環として北千葉線の事業中止が勧告されると、千葉県は2002年3月に本八幡~小室間の鉄道事業を廃止した。
その後、千葉県は「東京10号線延伸新線」の名称で本八幡~新鎌ヶ谷の事業化の調査や検討を進めていく方針を示したが具体化には至らず、千葉県や市川市、鎌ケ谷市で構成される検討委員会も2013年9月に解散。千葉県の構想としても消滅した。
データ
※未成区間のみ
事業者:千葉県
線名:北千葉線
区間・駅:本八幡~東菅野~柏井~中沢~新鎌ヶ谷~西白井~白井~小室
距離:16.4km
種別:地方鉄道(みなし第1種鉄道事業)
種類:普通鉄道
軌間:1372mm
動力:電気(直流1500V)
単複:複線