阪急伊丹線の延伸:伊丹~宝塚・塚口~尼ヶ崎

阪急伊丹線の延伸は、かつて阪急電鉄が計画していた新線。「塚口・尼崎線」と「伊丹・宝塚線」で構成される。伊丹線の両側を延伸して尼崎~宝塚を結ぶ計画だった。

概要

伊丹・宝塚線と塚口・尼崎線のルート。【作成:未来鉄道データベース】

大正期に現在の兵庫県尼崎市と宝塚市を結ぶ鉄道の計画が浮上し、地元政財界の有力者が発起人となって宝塚尼崎電気鉄道(尼宝電鉄)の鉄道免許を1922年10月に申請した。翌1923年7月の免許取得後、阪神電鉄が尼宝電鉄への出資を決め、1924年2月に尼宝電鉄の設立総会が行われた。

阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄に相当)の営業エリアである宝塚に阪神系列の鉄道が乗り入れる形になることから、阪神急行電鉄は対抗策として伊丹線の延伸を計画。1924年5月に塚口・尼崎線と伊丹・宝塚線の軌道特許を取得し、同年7月に工事施行認可を申請した。

尼宝電鉄は1926年2月の工事施行認可を経て着工。一部の区間で路盤が完成したものの、尼崎市が線路の高架化を要求するなどしたため計画は難航。完成した路盤は自動車専用道路に転用され、1932年11月2日に鉄道免許が廃止された。このためか伊丹線の延伸計画も進展しなかった。阪急電鉄は戦後も軌道特許を維持し続けたが、持株会社制に移行する直前の2005年2月に工事施行認可の申請を取り下げて軌道特許が失効した。

データ(伊丹~宝塚)

事業者:阪急電鉄
線名:伊丹・宝塚線
区間:伊丹~宝塚
距離:7.2km
種別:軌道事業
種類:軌道
軌間:1435mm

データ(塚口~尼崎)

事業者:阪急電鉄
線名:塚口・尼崎線
区間:塚口~尼ヶ崎
距離:3.8km
種別:軌道事業
種類:軌道
軌間:1435mm

手続き

1924年5月19日:軌道特許(阪神急行電鉄)
1924年7月1日:工事施行認可申請(塚口・尼崎線)
1924年7月14日:工事施行認可申請(伊丹・宝塚線)
1943年10月1日:名称変更(阪神急行電鉄→京阪神急行電鉄)
1973年4月1日:名称変更(京阪神急行電鉄→阪急電鉄)
2005年2月23日:工事施行認可申請の取り下げにより特許失効