小田急多摩線の延伸は、東京都町田市や神奈川県相模原市などの構想。小田急電鉄が運営する多摩線をJR横浜線・相模線方面に延伸し、東京都心部と町田市・相模原市のアクセス向上を図る。
ルート

詳細なルートは確定していない。町田市と相模原市が2012・2013年度と2016~2018年度に実施した調査結果の想定によると、唐木田駅から車両基地まで既設の線路を使用し、車両基地から南下して町田市内と相模原市内を縦断。横浜線の相模原駅付近を経て相模線の上溝駅付近に至る。
唐木田~上溝の区間は複線を想定。既設の唐木田駅のほか、町田市小山田地区に中間駅(高架・相対式ホーム2面2線)、横浜線・相模原駅の東寄り(東神奈川方面)北側に相模原駅(地下・相対式ホーム2面2線)を設ける。終点の上溝駅(高架・島式ホーム1面2線)は相模線・上溝駅の東側に設置する。
唐木田車両基地~中間駅は地上区間とトンネル区間が交互し、中間駅の先から上溝駅の手前まで地下トンネルを通る。中間駅~相模原は、2014年に一部返還された在日米軍相模総合補給廠の旧敷地を通りぬける。
このほか、上溝から神奈川県の愛川町・厚木市方面への延伸も考えられている。
運行計画
運行計画は未定。町田市・相模原市の2016~2018年度の需要予測調査で想定した唐木田~上溝の運行本数は、ピーク1時間あたりで9本(急行3本・各停6本)、オフピーク1時間あたりでは6本(急行3本・各停3本)とした。このほか、この調査では50円の加算運賃を設定した。
所要時間は多摩センター~上溝で急行(ピーク時)を8分40~55秒、各停・急行(オフピーク時)を11分20~25秒に設定。新宿駅までの所要時間は中間駅が整備される小山田周辺から46分(27分短縮)、相模原駅から48分(12分短縮)、上溝駅から51分(22分短縮)としている。輸送人員は基本ケースで1日7万3300人と予測している。
事業方式
事業方式は未定。町田市・相模原市の2016~2018年度の調査では、唐木田~上溝の延伸は都市鉄道利便増進事業として実施するものとし、営業主体を小田急電鉄、整備主体を公的主体として想定。概算事業費を2017年度の価格で1300億円とした。収支採算性は基本ケースの場合、11年で単年度黒字に転換。42年で累積黒字に転換するとした。
交通政策審議会が2016年にまとめた検討結果では、総事業費は唐木田~上溝で1300億円、上溝~本厚木を2100億円としている。
開業時期
開業時期は未定で事業化のめども立っていない。2015年の交通政策審議会答申第198号では、唐木田~上溝の延伸について収支採算性に課題があるとしている。上溝~愛川・厚木方面は答申に盛り込れていない。
町田市・相模原市の2016~2018年度の調査では、唐木田~上溝の開業時期を2033年と想定。建設期間は約6年間としている。
データ
※町田市・相模原市『小田急多摩線延伸計画に関する研究会報告書』(2012・2013年度調査)
※町田市・相模原市『小田急多摩線延伸に関する関係者会議報告書』(2019年5月28日)など
■唐木田~上溝
区間・駅:唐木田~中間駅~相模原~上溝
距離:約8.8km(唐木田~相模原:約5.8km、相模原~上溝:約3.0km)
■上溝以遠
区間:上溝~愛川・厚木方面