大阪国際空港広域レールアクセス:JR伊丹~大阪国際空港

大阪国際空港広域レールアクセスは兵庫県や伊丹市の構想。「JR福知山線分岐線」などとも呼ばれる。JR西日本が運営する福知山線(JR宝塚線)から分岐して大阪国際空港(伊丹空港)に乗り入れる新線を整備する。

JR宝塚線の沿線地域などから伊丹空港へのアクセス向上や、JR宝塚線・大阪モノレール線の連絡による乗り継ぎ利便性の向上を図る。

ルート

大阪国際空港広域レールアクセスの整備が想定されるルート(薄赤)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

ルートは未定。兵庫県伊丹市が2000年に公表した調査結果では、A・B・Cの3ルートを設定していた。

Aルートは伊丹駅からJR宝塚線に沿って1kmほど北上し、伊丹空港の北側に迂回。伊丹空港ターミナルビル付近に空港駅を設ける。全長は約3.2kmで、このうちトンネルは約2.6km。中間駅は設けない。

Bルートは伊丹~北伊丹の中間で分岐。神津地区(西桑津)に中間駅を設け、ターミナルビル付近に乗り入れる。全長は約3.7kmで、このうちトンネル部は約3.2km。

Cルートは分岐点を猪名川~伊丹の中間とし、神津地区に中間駅を設けてターミナルビルに乗り入れる。全長約3.8kmのルートで、このうちトンネル部は約3.3km。

運行計画

運行計画は未定。JR宝塚線と新線を経由して大阪・片町線(学研都市線)方面と伊丹空港を結ぶ直通列車の運行が考えられる。

事業方式

事業方式は未定。伊丹市は2001年時点では第三セクター方式を想定していた。2000年の調査結果による事業費の試算では、Aルートが約610億円、Bルートが約870億円、Cルートが約970億円。

開業時期

開業時期は未定で事業化のめども立っておらず、事実上凍結されている。

2000年の調査結果ではAルートのみ採算が取れるとしていたが、伊丹市はその後、市内に中間駅が設けられるBルートでの整備を目指した。2004年に策定された近畿地方交通審議会答申第8号でもBルートに相当する区間が「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」と位置づけられたが、事業費の高さもあって進展しなかった。

2007年には路面電車方式の軽量軌道交通(LRT)を整備する構想が事実上の代案として浮上したが、これも具体化に向けた動きにはならなかった。兵庫県の公共交通計画(2021~2030年)や伊丹市の総合交通計画(2024年度改訂版)では、大阪国際空港広域レールアクセスは盛り込まれていない。

データ

※伊丹市が2000年に公表した調査結果など

■Aルート

区間:伊丹~大阪国際空港
距離:約3.2km

■Bルート

区間:(伊丹~北伊丹の中間)~中間駅(神津)~大阪国際空港
距離:約3.7km

■Cルート

区間:(猪名川~伊丹の中間)~中間駅(神津)~大阪国際空港
距離:約3.8km

関連計画