東町線は、熊本市電の健軍線を健軍町停留場から熊本市民病院まで延伸する熊本市の計画。周辺に自衛隊施設があることから「自衛隊ルート」とも呼ばれる。熊本市が目指す「自動車利用1割減・公共交通利用2倍・渋滞半減」の政策の一環。熊本市民病院へのアクセス改善などを図る。
ルート
健軍町停留場から熊本県道28号熊本高森線を東に進む。東野1丁目交差点で自衛隊中通りに入って北上。熊本市民病院付近で終点になる。熊本高森線の軌道は道路中央に単線で敷設。自衛隊中通りは現在の中央分離帯に複線の軌道を整備する。

健軍町停留場は、健軍町交差点を挟んでホーム2カ所に改良。この停留場の東側で複線(水前寺寄り)から単線に変わる。単線から複線(市民病院寄り)変わる地点は若葉2丁目交差点から東野1丁目交差点のあいだになる。
停留場は4カ所に新設。東野1丁目交差点の前後(電停1=秋津新町停留場)、熊本県立第2高校や東区役所などが近くにある交差点の前後(電停2=第二高校前・東区役所入口停留場)、熊本東警察所などが近くにある交差点の前後(電停3=東町停留場)、熊本市民病院の東側(電停4=市民病院前停留場)に設ける。
運行計画
具体的な運行計画は未定。熊本市役所から市民病院までの朝ピーク時の所要時間は自動車より21分短い約34分を目指す。
事業方式
東町線の総事業費(2024年10月時点)は約141億円。このうち55億円を熊本市が負担し、残りは国の補助金などを活用する。
熊本市は熊本市電への上下分離方式の導入を計画しており、3連節車体・超低床式の新型車両の導入や東町線の整備も上下分離計画に含まれている。現在は熊本市交通局が運営しているが、上下分離後は熊本市が東町線を含む市電の軌道施設や車両を保有。同市が設立した熊本市公共交通公社が熊本市から施設や車両を借り入れて運行する。
開業時期
熊本市は2031年度の開業を目指し、都市計画の手続きなどを進めている。上下分離方式の導入で国への申請が必要な軌道運送高度化実施計画は2024年6月に熊本市が計画案をまとめた。
熊本市電は2024年2月以降、脱線事故や信号の見落としなど運行トラブルが相次いで発生している。熊本市は安全体制の確立を優先するとして、2025年4月に予定していた上下分離方式の導入を延期する方針。東町線も延期を含めスケジュールの見直しに着手している。
データ
●軌道運送高度化実施計画案(2024年6月)
軌道整備事業者:熊本市
軌道運送事業者:熊本市公共交通公社
線名:東町線
区間:健軍町~秋津新町~第二高校前・東区役所入口~東町~市民病院前
距離:約1.6km
種類:軌道
動力:電気(直流600V)
軌間:1435mm
単複:単線(健軍町~秋津新町)/複線(秋津新町~市民病院前)
開業予定時期:2031年度 ※遅れる模様