新金線の旅客化:新小岩~金町

新金線の旅客化は、総武本線貨物支線(新金線、新金貨物線)を旅客化して総武本線の新小岩駅と常磐線の金町駅を結ぶ、東京都葛飾区の構想。葛飾区内の南北交通ネットワークの充実を図る。

ルート

現在の新金線は小岩~新小岩~金町の8.9kmを結ぶ貨物線で、このうち総武本線に並行する区間を除く新小岩~金町を旅客化する。

設置駅は確定していない。葛飾区の調査(2018年度・2021年度)では、起終点を含め10駅案と7駅案を想定。新小岩駅は同駅北口の東側に旅客ホームを整備することを想定して検討している。

新金線の旅客化区間(緑、カッコ書きは7駅案では設置されない駅)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

新金線の現在の線路は単線だが、複線化のための用地が確保されている。葛飾区のこれまでの調査では、基本的に単線のまま旅客化することを想定。7駅案では全線で上下列車の行き違いが可能な構造を想定して検討している。

水戸街道との交差部(新宿新道踏切)は道路交通の障害になっている。葛飾区の調査(2021年度)では、新宿新道踏切とその前後の区間を高架化する連続立体交差や、新宿新道踏切付近のみ立体化する単独立体交差を検討。さらに新小岩駅から踏切手前の新宿駅まで先行整備し、交通障害の課題を解決したうえで新小岩~金町の全線を整備する段階的な整備も検討している。

一方で水戸街道を高架化して新金線をまたぐ計画もあり、新金線の旅客化に際しては調整が必要になる。

運行計画

運行計画は未定。葛飾区の調査(2018年度)では、ライトレール車両または(通常の)電車の導入を想定。1日の運行本数を84本(1時間の本数はピーク時6本、オフピーク時4本)とし、所要時間は10駅案で22分、7駅案で17.7分としている。貨物列車は引き続き運行することを想定している。

事業方式

事業方式は未定。現在の新金線はJR東日本の第1種鉄道事業線だが、旅客列車は臨時列車を除き運行していない。JR貨物が1日数往復程度、JR東日本から線路を借りて貨物列車を走らせている。

葛飾区の調査(2021年度)では、第三セクターや葛飾区がJR東日本から線路施設を譲り受けて第三セクターが列車を運行する上下一体案か、第三セクターがJR東日本から線路施設を借り受けて列車を運行する上下分離案が有力としている。

概算事業費は葛飾区の調査(2018年度)によると、すべての踏切を残す場合でライトレール車両案が約250億円、電車案が約200億円。

開業時期

開業時期は未定で事業化のめども立っていないが、葛飾区は事業化に向けた調査や関係者との協議を進めている。ただし新宿新道踏切の問題を解決するめどが立っておらず、2024年には複線化用地を活用してバス専用道を整備する案も浮上している。

データ

■第1種鉄道事業許可(1987年4月1日)
第1種鉄道業者(旅客運送):東日本旅客鉄道(JR東日本)
線名:総武本線 ※通称は「新金線」や「新金貨物線」
区間:小岩~新小岩信号場~金町
距離:8.9km
種類:普通鉄道
動力:電気(直流1500V)
軌間:1067mm
単複:単線
備考:定期運行の旅客列車は運行していない

■第2種鉄道事業許可(1987年4月1日)
第2種鉄道事業者(貨物運送):日本貨物鉄道(JR貨物)
線名:総武本線 ※通称は「新金線」や「新金貨物線」
区間:新小岩信号場~金町
距離:6.6km

■葛飾区調査(2018年度)
区間・駅:新小岩~東新小岩~奥戸~細田~(南高砂)~高砂~(北高砂)~新宿~(西金町)~金町 ※カッコは7駅案では設置されない駅
距離:約7.1km