熊本空港アクセス鉄道は熊本県の計画。豊肥本線から分岐して熊本空港に乗り入れる新線を整備し、熊本空港のアクセス向上を図る。「阿蘇くまもと空港アクセス鉄道」とも呼ばれる。
ルート

詳細なルートは確定していない。熊本県が2025年6月に公表したルート案によると、豊肥本線の肥後大津駅で分岐。盛土から高架橋に移って南下する。白川を渡った先の高遊原台地は地下トンネルで進み、熊本空港の南側に至る。
線路は電化・単線で整備。中間には列車の行き違い施設として信号所の設置を予定している。ほかに中間駅の整備を地元の大津町が構想しており、信号所の代わりに行き違い設備を持つ中間駅を整備することも考えられる。
熊本空港駅は空港敷地外の地上に設ける考え。熊本空港のターミナルビルから空港駅までの距離は120~200m程度とし、空中回廊や地下通路でターミナルビルと駅を結ぶことが考えられている。
このほか、豊肥本線の改良を行うことが考えられている。熊本県が2025年9月に示した調査・検討では、東海学園前駅で上下列車の行き違いを可能にするほか、武蔵塚駅と原水駅も上下の列車が駅構内に同時進入できるようにするとしている。
運行計画
運行計画は未定。豊肥本線に乗り入れて熊本~熊本空港を直通運転することが考えられている。
熊本県が2025年9月に示した調査・検討結果では、1日の運行本数(片方向)は快速列車14本、普通列車47本の合計61本。所要時間は肥後大津~熊本空港で快速を約7分、普通列車を約8分とし、熊本~熊本空港では快速を約39分、普通列車を約48分とした。
運賃は950円を想定。1日の利用者数は2035年時点で約6500人と予測している。
事業方式
上下分離方式を採用する予定。熊本県が整備主体となる第三セクターを設立し、JR九州が第2種鉄道事業者として整備主体から施設を借り入れて列車を運行する。
2025年9月公表の調査・検討結果では、概算事業費は熊本空港アクセス鉄道の整備費が約610億円で、豊肥本線の機能強化費が約60億円。国の空港アクセス鉄道等整備事業費補助などの活用を想定するほか、JR九州が整備費の3分の1を上限に負担することも考えられている。
費用便益比(B/C)は開業後30年で1.21、開業後50年で1.43としている。
開業時期
熊本県は2034年度末の開業を想定している。整備主体の設立を経て2025年12月ごろに鉄道事業許可を申請する見込み。その後は2026年度までに測量や地質調査、鉄道の設計、環境影響評価や都市計画の手続きを実施し、2027年度の工事着手を目指す。
データ
※熊本県『阿蘇くまもと空港アクセス鉄道』(2024年8月)
※熊本県『空港アクセス鉄道に係る鉄道概略設計調査結果概要【整備ルート絞り込み案】』(2025年6月18日)など
区間:肥後大津~(信号所)~熊本空港
距離:約6.8km
種類:普通鉄道
動力:電気(交流2万V/60Hz)
軌間:1067mm
単複:単線





