阿蘇くまもと空港アクセス鉄道は、豊肥本線から分岐して熊本空港に乗り入れる新線を建設する構想。一般には「熊本空港アクセス鉄道」と呼ばれることが多い。熊本県が事業化に向けて準備を進めている。
ルート
詳細なルートは確定していない。環境影響評価の方法書などによると、豊肥本線の肥後大津駅で分岐。大分方面に少し進んでから南下し、白川を渡ったあたりから南西に向きを変えて熊本空港に入ることが考えられている。
線路は単線。肥後大津駅から白川を渡った先まで高架橋を採用し、熊本空港がある高遊原台地は地下トンネルで通る。終点の熊本空港に設ける駅は、地上式と地下式の両方を検討している。
中間には列車の行き違い施設として信号所の設置を予定。ほかに中間駅の整備も地元の大津町が構想しており、信号所の代わりに行き違い設備を持つ中間駅を整備することも考えられる。
運行計画
運行計画は未定。豊肥本線に直通し、熊本~熊本空港を約44分で結ぶ。快速列車を運行する場合は約39分になる。
事業方式
事業主体は確定していないが、上下一体式の場合は熊本県が第1種鉄道事業者を設立して運行をJR九州に委託。上下分離式の場合は施設を保有する第3種鉄道事業者を熊本県が設立し、JR九州が第3種鉄道事業者から線路施設を借り入れて列車を運行することが考えられる。
事業費は概算で約410億円。費用便益比(B/C)は開業後30年で1.03~1.22、50年で1.21~1.41と試算されている。
開業時期
熊本県は2026年度までに測量や地質調査、鉄道の設計、環境影響評価や都市計画の手続きを実施し、2027年度から工事に着手、2034年度末の開業を目指している。実現の可能性はかなり高くなっているが、熊本空港アクセス鉄道の整備に適した補助制度の創設が課題になっている。
データ
■阿蘇くまもと空港アクセス鉄道(2024年8月)
区間・駅:肥後大津~(信号所)~熊本空港
距離:約6.8km
種類:普通鉄道
動力:電気(交流2万V/60Hz)
軌間:1067mm
単複:単線