山陽本線の高架化は広島県と広島市の事業。JR西日本が運営する山陽本線・安芸中野~天神川と呉線・矢野~海田市を一部高架化し、踏切解消による交通渋滞の解消や分断された市街地の一体化を図る。
ルート

山陽本線と呉線が乗り入れる海田市駅付近から天神川駅の手前まで線路を高架化する。解消される踏切は合計16カ所で、山陽本線の12カ所と呉線の4カ所。向洋駅付近が第1期区間、海田市駅付近が第2期区間に分けられている。
第1期区間の向洋駅付近は事業着手の前の時点で複々線。両外側の線路が旅客線(山陽・呉線)で、内側の線路が貨物線の配列になっている。高架化後もこの配列は変わらないが、向洋駅のホームは相対式2面4線の地上駅から島式2面4線の高架駅に変わる。工事は仮線工法を採用。第1期区間の完成時点では7カ所の踏切が解消される。
第2期区間の海田市駅付近は現在、山陽本線が複線で呉線が単線。これは高架化後も変わらない。現行計画では仮線工法の採用が考えられている。現在の海田市駅は単式・島式ホーム3面5線の地上駅だが、3階建ての高架駅に変わり、2階に山陽本線ホーム(島式1面2線)、3階に呉線ホーム(島式1面2線)を設ける。
事業方式
広島県と広島市を事業主体とする連続立体交差事業として高架化する。広島市内の部分は広島市が事業主体で、府中町と海田町の部分は広島県が事業主体。第1期区間の事業費は協定額ベースで447億円だったが、2025年6月時点で約700億円に膨張する見通しになった。第2期区間を含む全体の事業費(従来額は約915億円)も膨張するとみられる。
開業時期
1999年3月の都市計画決定を経て2002年3月に事業認可を受けたが、その後計画の見直しがあり、改めて2019年5月の都市計画決定を経て2019年10月に事業認可された。全体の事業施行期間は2037年度末まで。
第1期区間は事業中。2025年12月までに仮線切替を完了し、2026年度から高架橋本体の工事が本格的に始まる。高架化の完了は当初2030年春ごろを予定していたが、広島県や広島市は2025年6月時点で完了時期を2033年春ごろに延期する見通しを示している。
第2期区間は従来の計画では2026年度初頭にも工事に着手して2036年度ごろの高架化完成が考えられていたが、第1期区間の遅れが影響する可能性が高まっている。
データ
◆都市計画決定(2019年5月)
◆都市計画事業認可(2019年10月17日)
施行者:広島県・広島市(第1種鉄道事業者は西日本旅客鉄道)
線名:山陽本線・呉線
区間(山陽本線):(安芸中野駅~)海田市成本~海田市駅~向洋駅~府中町鹿籠1丁目(~天神川駅)
区間(呉線):(矢野駅~)海田町南大正町~海田市駅
距離(山陽本線):約3.9km
距離(呉線):約1.2km
構造:高架式
事業施行期間:2019年10月17日~2038年3月31日 ※遅れる見込み
備考:第1期区間の高架化完了は2033年春ごろの見込み。第2期区間(海田市駅付近)は2036年度ごろの予定とされていたが遅れる可能性が高い。



