九州新幹線(西九州ルート)は、福岡市と長崎市を結ぶ新幹線鉄道の建設線。福岡市内の博多駅から新鳥栖駅まで九州新幹線(鹿児島ルート)と線路を共用する。終点側の武雄温泉~長崎が西九州新幹線として2022年9月23日に開業した。起点側の新鳥栖~武雄温泉は未着工。「九州新幹線(長崎ルート)」「長崎新幹線」などとも呼ばれる。
ルート・駅
ルートは確定していない。1985年1月22日に当時の国鉄が環境影響評価のために示したルート(アセスルート、約50km)では、新鳥栖駅からJR長崎本線の南側を西に進み、佐賀駅からは長崎本線・佐世保線の北側に整備するとしていた。新鳥栖~武雄温泉の中間駅は佐賀駅のみで、長崎本線の既設同名駅に併設する。

このほか、国と佐賀県の協議のなかで、佐賀市の中心市街地を避けて長崎自動車道がある方向に迂回するルート(北回りルート、約51~54km)や、九州新幹線(鹿児島ルート)の筑後船小屋駅で分岐して佐賀空港を経由し、武雄温泉駅に至るルート(南回りルート、約51km)も浮上している。
事業方式
鉄道・運輸機構が建設し、完成後はJR九州が運営する。
費用
2017年度に国土交通省が示した試算ではアセスルートが約6200億円。近年浮上した別案の場合、北回りルートが約5700~6200億円、南回りルートが約1兆1300億円とされている。
効果
延伸区間を整備した場合、新鳥栖駅で九州新幹線(鹿児島ルート)に接続。博多駅や山陽新幹線の新大阪方面から長崎方面へ直通列車を走らせることが可能になる。最短所要時間は博多~長崎が約51分で、現在の在来線特急+新幹線の乗り継ぎ(1時間20分)より29分の短縮。新大阪~長崎は45分短縮の3時間15分、博多~佐賀は15分短縮の20分、新大阪~佐賀は29分短縮の2時間44分とされている。
実現の可能性
佐賀県が新幹線の整備を事実上拒否しており、開業時期は見通せない状態。2017年度の試算ではアセス・北回り・南回りの3ルートとも工期が約12年と想定されている。
西九州ルートは新幹線と在来線の両方を走れる軌間可変電車(フリーゲージトレイン=FGT)を使用し、起点側の博多~武雄温泉はFGTが在来線を走行。その先はフル規格の新幹線を整備してFGTが乗り入れることを前提に、終点側の武雄温泉~長崎の工事に着手した。しかし、FGTは開発の難航や採算性の問題もあって導入が断念されたことから、2018年までにFGT導入を断念。国とJR九州は全線フル規格整備の方針に転換した。
これに対して佐賀県は、FGTを導入するという当初の計画と異なるとして反発。時間短縮効果が小さい割に事業費が高いことや、フル規格で整備した場合の並行在来線の扱いが不透明なこともあり、フル規格での全線整備に同意しておらず、調整が難航しているという経緯がある。
【データ】
◆基本計画決定(1972年12月12日)
◆整備計画決定(1973年11月13日)
◆ルート公表(1985年1月22日)
営業主体:九州旅客鉄道
建設主体:鉄道建設・運輸施設支援機構
線名:九州新幹線(西九州ルート)
区間・駅:新鳥栖~佐賀~武雄温泉 ※アセスルート
距離:約51km ※アセスルート
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