西九州新幹線の延伸:新鳥栖~武雄温泉

九州新幹線(西九州ルート)は、福岡市と長崎市を結ぶ新幹線鉄道の建設線。「九州新幹線(長崎ルート)」「長崎新幹線」などとも呼ばれる。

博多(福岡市)~新鳥栖は2011年3月12日に全線開業した九州新幹線(鹿児島ルート)と線路を共用。2022年9月23日には終点側の武雄温泉~長崎が「西九州新幹線」として開業した。起点側の新鳥栖~武雄温泉が未開業となっている。

ルート

九州新幹線(西九州ルート)のルート。武雄温泉~長崎がすでに開業済みで、新鳥栖~武雄温泉が未開業。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

未開業区間のルートは未定。1985年1月22日に当時の国鉄が環境影響評価のために示したルート(アセスルート、約50km)では、新鳥栖駅からJR長崎本線の南側を西に進み、佐賀駅からは長崎本線・佐世保線の北側に整備するとしていた。新鳥栖~武雄温泉の中間駅は佐賀駅のみで、長崎本線の既設同名駅に併設する。

このほか、国と佐賀県の協議のなかで、佐賀市の中心市街地を避けて長崎自動車道がある方向に迂回するルート(北回りルート、約51~54km)や、九州新幹線(鹿児島ルート)の筑後船小屋駅で分岐して佐賀空港を経由し、武雄温泉駅に至るルート(南回りルート、約51km)も浮上している。

運行計画

未開業区間が開業した場合の運行計画は未定だが、山陽新幹線や九州新幹線(鹿児島ルート)に乗り入れて新大阪~長崎や博多~長崎を直通する列車が運行されるとみられる。

国土交通省が作成した2023年2月の資料によると、アセスルートを採用した場合の所要時間は博多~佐賀は約20分、博多~長崎は約51分で、それぞれ29分短縮される。新大阪~長崎は約3時間15分で43分の短縮。北回りルートの所要時間もほぼ同じだが、南回りルートはアセスルートに比べ6~7分ほど長くなる。

事業方式

鉄道・運輸機構が建設し、完成後はJR九州が運営する。2023年2月の国土交通省資料によると、アセスルートは概算建設費が約6200億円で費用便益比(B/C)は3.1。年間約86億円の収支改善効果を見込む。北回りルートは概算建設費が約5700億~6200億円。B/Cは2.6~2.8で収支改善効果は年間約62~75億円を見込む。南回りルートは概算建設費が約1兆1300億円で最も高く、B/Cは最小の1.3。収支改善効果は見込めないとしている。

開業時期

2023年2月の国土交通省資料では想定工期を約12年としている。ただし佐賀県が新幹線の整備を事実上拒否しており、開業時期は未定で事業化のめども立っていない。

西九州ルートは新幹線と在来線の両方を走れる軌間可変電車(フリーゲージトレイン=FGT)を使用し、起点側の博多~武雄温泉はFGTが在来線を走行。その先はフル規格の新幹線を整備してFGTが乗り入れることを前提に、終点側の武雄温泉~長崎の工事に着手した。しかし、FGTは開発の難航や採算性の問題もあって導入が断念されたことから、国とJR九州は2018年までにFGT導入を断念し、全線フル規格整備の方針に転換した。

これに対して佐賀県は、FGTを導入するという当初の計画と異なるとして反発。時間短縮効果が小さい割に事業費が高いことや、フル規格で整備した場合の並行在来線の扱いが不透明なこともあり、フル規格での全線整備に同意しておらず、調整が難航しているという経緯がある。

データ

※未開業区間のみ

◆基本計画決定(1972年12月12日)
◆整備計画決定(1973年11月13日)
営業主体:九州旅客鉄道
建設主体:鉄道建設・運輸施設支援機構
線名:九州新幹線(西九州ルート)
区間・駅:新鳥栖駅~佐賀駅~武雄温泉駅 ※アセスルート
距離:約51km ※アセスルート