堺市東西鉄軌道:堺第2区~堺市

堺市東西鉄軌道は堺市の構想。堺市を東西に横断する路面電車方式の軽量軌道交通(LRT)を整備し、南北方向の鉄道との連絡による鉄道ネットワークの強化や、堺市の臨海地域と都心部を結ぶ東西軸の形成による都市機能の強化を図ることが考えられていた。

ルート

堺市東西鉄軌道の近畿地方交通審議会答申第8号のルート(薄緑)と基本計画案の大小路ルート(赤)、基本計画案の臨海ルート(太青)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

詳細なルートは確定しなかった。2004年の近畿地方交通審議会答申第8号では、堺市の臨海地域(堺第2区、堺浜)からJR阪和線の堺市駅までの8.3kmとしていた。2008年に堺市が公表した基本計画案では、堺駅~堺東駅のAルート(大小路ルート)と堺浜~堺駅のBルート(臨海ルート)が設定され、堺東~堺市は基本計画案から除外されている。

大小路ルートは、南海本線の堺駅前東口から大小路シンボルロードを東に進み、南海高野線の堺東駅前に至る計画だった。複線軌道を整備する場合、大小路シンボルロードは車線を1車線に減らして西行き一方通行とし、軌道の敷設スペースを確保するとされていた。また、阪神高速15号堺線との交差部を境に西寄りは軌道を外寄せとして歩道から直接乗り降りできるようにし、東寄りは北側への片寄せとする計画だった。

臨海ルートは堺浜から大阪府道29号大阪臨海線などに沿って堺駅前西口に至る。軌道は中寄せとし、一部区間は高架で整備する計画だった。

このほか、基本計画案では阪堺電軌が運営する阪堺線のうち堺市内を中心とした区間(我孫子道~浜寺駅前)をCルート(阪堺ルート)と位置付け、軌道や停留場の改修を盛り込んでいた。大小路ルートと阪堺ルートは阪堺線の大小路停留場で交差する。

運行計画

2008年の基本計画案では、1時間あたりの運行本数を大小路ルートでピーク時12本、昼間時8本とし、阪堺ルートはピーク時8本、昼間時6本としていた。また、大小路ルート(堺東発着分)と阪堺ルートの相互乗り入れも考えられていた。2011年に公表された臨海ルートの検証結果では臨海ルートの運行本数(片道)を1日83本とし、1時間あたりではピーク時11本、オフピーク時4本としていた。

事業方式

2008年の基本計画案では公設民営型の上下分離方式を想定。堺市が軌道施設や車両を整備、保有し、民間事業者が運行することが考えられていた。大小路ルートと阪堺ルートは南海電鉄・阪堺電軌グループが経営予定者とされていたが、臨海ルートは未定だった。

概算事業費は2008年の基本計画案で大小路ルートが約85億円、臨海ルートが約280億円、阪堺ルートが約60億円。2011年公表の臨海ルート検証結果では、臨海ルートの約建設事業費を約330億円としていた。

経緯

堺市が1994年に総合都市交通計画構想で東西鉄軌道を盛り込んだ。2004年の近畿地方交通審議会答申第8号では「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」に位置付けられ、検討が本格化。2008年に基本計画案がまとめられた。

しかし沿線住民が計画に反対したのに加え、2009年9月の堺市長選で計画の中止・見直しを公約に掲げた候補者が当選。翌10月には大小路ルートの中止が決まった。臨海ルートは2011年、堺市が事業性の検証結果を公表。事業に対する堺市の負担額は220億~330億円、年間収支は500万~5億700万円の赤字とされ、臨海ルートも事実上中止された。

堺市は2023年5月に策定した「堺都心未来創造ビジョン」で、堺駅~堺東駅を結ぶ大小路筋を「SMI都心ライン」とし、自動運転などの新技術を活用したバス車両や乗降施設を一体的に導入、整備することを計画している。

データ

■近畿地方交通審議会答申第8号

区間:堺第2区~堺~堺東~堺市
距離:8.3km

■堺市基本計画案(大小路ルート)

区間:堺駅前東口~堺東駅前
距離:1.7km

■堺市基本計画案(臨海ルート)

区間:堺浜~堺駅前西口
距離:5.2km

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