東九州新幹線:福岡~鹿児島

東九州新幹線は、福岡市から大分市付近と宮崎市付近を経由して鹿児島市に至る新幹線鉄道の建設線。九州東部地域の都市を結ぶ。

ルート・駅

ルートは確定していない。従来の想定では、福岡市内の博多駅から北九州市付近まで山陽新幹線と線路を共用し、小倉駅がある北九州市付近から日豊本線におおむね並行するルートで鹿児島市まで整備することが考えられていた。

東九州新幹線の推定されるルート。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

近年は沿線各県が別のルートも含めて調査・検討を行っている。大分県は2023年、従来の日豊本線ルートに加え、九州新幹線(鹿児島ルート)の新鳥栖駅で分岐して久大本線に並行して大分に向かう案を調査。宮崎県も2024年、日豊本線ルートの全線整備に加え、宮崎~鹿児島を先行整備して九州新幹線(鹿児島ルート)に接続させる案や、九州新幹線(鹿児島ルート)の新八代駅で分岐して宮崎に至る新ルート案を調査した。

このほか、日豊本線に並行するルートでは北九州空港や宮崎空港、鹿児島空港を経由させる考えも浮上している。

事業方式

営業主体や建設主体は未定。整備新幹線と同じ方式を採用する場合、鉄道・運輸機構が建設し、完成後はJR九州が運営することになるとみられる。ただし山陽新幹線と線路を共用する部分はJR西日本が営業主体になるとみられる。

費用

2023年の大分県の調査によると、日豊本線ルートの小倉~大分のみ整備する場合の事業費は8195億円。久大本線に並行して新鳥栖~大分を整備する案は8339億円とした。

2024年の宮崎県の調査によると、日豊本線ルートの全線整備(小倉~鹿児島中央)は3兆8068億円。同ルートの一部先行整備(宮崎~鹿児島中央)は1兆642億円としている。新八代~宮崎の新ルート整備は1兆4978億円とした。

効果

2023年の大分県の調査結果によると、日豊本線ルートの場合は博多~小倉が47分で結ばれ、現在の在来線特急に比べ1時間20分程度短縮される。新大阪~大分は2時間36分で、現在の山陽新幹線と在来線特急の乗り継ぎに比べ1時間程度の短縮になる。久大本線ルートは博多~大分が46分で日豊本線ルートと大差ない。一方で新大阪~大分は3時間7分で、日豊本線ルートより30分ほど長くなる。

2024年の宮崎県の調査結果によると、福岡市~宮崎市は現在の九州新幹線(鹿児島ルート)と在来線特急の乗り継ぎ(鹿児島中央経由)が3時間20分程度なのに対し、東九州新幹線の日豊本線ルートが1時間38分、鹿児島中央先行ルートが2時間12分、新八代ルートが1時間24分。最大で2時間半程度、最小でも1時間40分程度短縮される。

費用便益比(B/C)は社会的割引率が4%の場合、大分県の2023年調査で日豊本線ルートが0.73、久大本線ルートが0.71。宮崎県の調査では日豊本線ルートが0.5、鹿児島中央先行ルートが0.4、新八代ルートが0.5で、いずれも1を下回っている。社会的割引率を2%とした場合は大分県の調査で1.2以上になったが、宮崎県の調査では0.8~0.9だった。

実現の可能性

実現の可能性は低い。大分県と宮崎県では2014年ごろから建設を求める動きが活発になっており、新たなルート案などの調査も実施している。

データ

■基本計画決定(1973年11月15日)
営業主体:-
建設主体:-
線名:東九州新幹線
区間・駅:(福岡市~大分市付近~宮崎市付近~鹿児島市)
距離:約390km ※ ※国土交通省鉄道局監修『数字でみる鉄道』(2017年版以前)による(山陽新幹線の共用区間は含まない)
種類:-
動力:-
軌間:-
単複:-
開業予定時期:-