南海本線の高架化は、南海電鉄が運営する南海本線の石津川~羽衣を一部高架化する堺市の事業。踏切解消による交通渋滞の解消や分断された市街地の一体化を図る。
ルート

石津川駅の南側から羽衣駅の北側まで複線の線路を高架化する。これにより諏訪ノ森駅と浜寺公園駅を高架化するとともに7カ所の踏切を解消する。
諏訪ノ森駅は相対式ホーム2面2線の高架駅、浜寺公園駅は相対式ホーム2面4線の高架駅になる。羽衣駅は別の高架化事業で2021年5月に高架化済み。
諏訪ノ森駅の地上駅舎は明治期の1907年に建造されたもので、浜寺公園駅の地上駅舎も大正期の1919年に建造。両駅舎とも1998年に国の登録有形文化財に指定されている。高架化で支障することから高架化に支障しない場所に移築され、現在は交流スペースとして試験活用されている。
南海本線の高架化区間で同線と立体交差している阪堺電軌阪堺線は、船尾~浜寺駅前の軌道を移設。現在の浜寺駅前停留場は南海本線・浜寺公園駅の西側にあるが、東側に移設することで立体交差を解消し、高架化工事に伴う阪堺線の長期運休を回避する。
事業方式
堺市を事業主体とする連続立体交差事業として高架化する。事業費は約423億6000万円とされていたが、2025年3月時点では256億2000万円増の約679億8000万円に膨れあがる見込み。
開業時期
2005年8月の都市計画決定、2006年11月の事業認可を経て事業に着手した。これまで2024年度末の高架切替、2027年度末の事業完了を予定していたが、隣接する高石市内の連続立体交差事業の高架切替時期の影響や鉄道構造物設計基準の改訂への対応、仮線敷地の地盤改良の追加などで高架切替は2030年度末、事業完了は2033年度末の予定に変更される見込み。
仮線への切替は2022年5月22日に浜寺公園駅付近の上り線で実施。続いて2023年1月21日に諏訪ノ森駅付近の上り線、2024年7月27日に浜寺公園~羽衣の上り線で実施され、2024年11月16日には諏訪ノ森駅付近の下り線で実施された。
データ
◆都市計画決定(2005年8月23日)
◆都市計画事業認可(2006年11月7日)
施行者:堺市(第1種鉄道事業者は南海電気鉄道)
線名:南海本線
区間:(石津川駅~)堺市西区浜寺石津町中~諏訪ノ森駅~浜寺公園駅~高石市東羽衣1丁目(~羽衣駅)
距離:約2.7km
構造:高架式
事業施行期間:2006年11月7日~2028年3月31日 ※2034年3月31日に延期の見込み。