江東区LRTは東京都江東区が構想している路面電車方式の軽量軌道交通(LRT)。総武本線貨物支線(越中島支線)を活用するとともに新木場方面に延伸し、江東区の南北交通の改善などを図る。「越中島貨物線の旅客線化」「越中島貨物線の貨客併用化」などとも呼ばれる。
ルート

ルートは確定していない。江東区が2003年3月にまとめた調査報告の想定では、亀戸駅から新砂1丁目(東京メトロ深川体育館付近)までは越中島支線を活用。ここから都道306号王子千住夢の島線沿いの都有地(かつて貨物線の整備が想定されていた敷地)を使用し、JR京葉線や東京メトロ有楽町線が乗り入れる新木場駅付近まで軌道を新設する。
軌道は全線単線・部分単線・全線複線の3案を設定。全線単線案は起終点の亀戸駅と新木場駅を単式ホーム1面1線とし、中間にすれ違い場所を均等に配置する。部分単線案は亀戸駅付近と新木場駅付近を除き複線化。亀戸駅と新木場駅は島式ホーム1面2線で整備する。全線複線案では亀戸駅と新木場駅を1面2線か2面2線で整備する。
中間駅は8駅を設定し、このうち3駅は全線単線案のすれ違い場所。車両基地は夢の島野球場付近に設ける。
このほか、将来構想として新木場以南への延伸(南下直進か南東方向)と亀戸以北への延伸(東武亀戸線方面や新金線方面)も考えられている。
運行計画
運行計画は未定。2003年3月の調査報告では、表定速度を25km/h、折り返し時間を5分以上確保し、亀戸~新木場の所要時間を15分以内とすることを目標としている。運行間隔は全線単線案で10分間隔、部分単線案と全線複線案で5分間隔としている。貨物列車は引き続き運行することを想定している。
事業方式
事業方式は未定。現在の越中島支線はJR東日本が線路を保有して列車を運行する第1種鉄道事業者、JR貨物がJR東日本から線路を借り入れて列車を運行する第2種鉄道事業者になっている。
2003年3月の調査報告による収支分析上の設定では、第三セクターがLRTを運営。越中島支線活用区間は鉄道事業とし、土地や既存施設はJR東日本から借り入れる。都有地新設区間は軌道事業として敷地を道路区域に取り込み、第三セクターが道路管理者の東京都または江東区から土地や路盤などを借り入れる。貨物列車はJRが運行するとした。
概算建設費は全線単線案で116億~146億円、部分単線案と全線複線案は154億~204億円としている。
開業時期
開業時期は未定で事業化のめども立っていない。江東区は早期の具体化には課題が多いとして長期的構想と位置付けている。東京都が2015年7月に取りまとめた広域交通ネットワーク計画では検討対象になったものの、優先整備路線や整備検討路線としては盛り込まれなかった。
データ
※江東区・日本交通計画協会『江東区LRT基本構想策定調査 報告書』(2003年3月)など
区間・駅:亀戸駅~新大橋通り~小名木川~北砂~葛西橋通り~永代通り~郵便局前~夢の島マリーナ~(車両基地)~夢の島公園~新木場駅前
距離:約6km
備考:亀戸駅から新砂1丁目(永代通り~郵便局前の中間)までは越中島支線を活用