新金線の旅客化:新小岩~金町

新金線の旅客化は東京都葛飾区の構想。総武本線貨物支線(新金線、新金貨物線)を旅客化して総武本線の新小岩駅と常磐線の金町駅を結び、葛飾区内の南北交通ネットワークの充実を図る。「新金貨物線の貨客併用化」などとも呼ばれる。

ルート

新金線の旅客化区間(緑、カッコ書きは7駅案では設置されない駅)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

整備方式は未定。葛飾区の調査(2018年度・2021年度)では、新小岩~金町を旅客化するものとし、設置駅数は起終点をを含め10駅案と7駅案の2案を示している。

現在の新金線は小岩~新小岩~金町の8.9km。定期運行の貨物列車に加え、旅客列車も臨時列車や団体列車として運行されている。単線電化路線だが、複線化用の敷地が確保されている。構想では新小岩~金町で旅客運送を行う。

有識者や葛飾区、JR東日本、JR貨物などで構成される新金線旅客化検討委員会が2025年1月にまとめた報告書では、10駅設置を前提として6ケースを提示。旅客列車と貨物列車が線路を共用する2案(ケースA・B)と、旅客列車と貨物列車の線路を分離する2案(ケースC・D)、バス専用道を整備する2案(ケースE・F)を示している。

貨客共用のケースAは、新小岩駅から2番目の駅までほぼ単線(1番目の駅は行き違い可能)で、2番目の駅の先から7番目の駅までは複線になる。複線区間は現在の線路に増設する形で複線化し、単線区間は現在の線路を活用する部分と、旅客列車用の線路を新設する部分(新小岩駅付近や金町駅付近)がある。また、5番目の駅の先から7番目の駅の先までは高架区間とし、高砂踏切や国道6号踏切を解消。8番目の駅の先から金町駅までも高架区間になる。

ケースBはケースAとほぼ同じ構成だが、高架区間は8番目の駅の先から金町駅までの区間だけで、高砂踏切や国道6号踏切は解消しない。また、高砂踏切の前後は線路を増設せず単線になる。

貨客分離のケースCは、現在の単線の線路の脇にある複線化用地に旅客列車専用の線路を単線で整備するもの。途中5カ所に列車の行き違い施設を設ける。5番目の駅の先から金町駅までは高架区間になる。ケースDもケースCと同じ貨客分離だが、高架区間を高砂踏切の前後と8番目の駅付近から金町駅までとし、中間6カ所に行き違い施設を設ける。

バス専用道のケースEは、現在の単線の線路の脇にある複線化用地に1車線のバス専用道を整備。中間8カ所に行き違い施設を設ける。新小岩駅は既設の駅前広場(東北広場)に乗り入れる。また、高砂踏切の前後と8番目の駅の先から金町駅までは高架区間とする。ケースFは新小岩駅から高砂踏切付近までバス専用度を整備。高砂踏切付近から金町駅の北口駅前広場まで一般道を走る。

運行計画

運行計画は未定。検討委の報告書による1時間あたりの運行本数は、鉄道のケースA~Dがピーク時8本・オフピーク時4分で、バス専用道のケースE・Fはピーク時10本・オフピーク時6本。所要時間は貨客共用のケースA・Bで約17~21分、貨客分離のケースC・Dで約23~26分、バス専用道のケースE・Fで約26~28分としている。

車両は鉄道のケースA~DでLRT車両を想定。バス専用道のケースE・Fで連節バスを想定している。

事業方式

事業方式は未定。現在の新金線はJR東日本が線路を保有して旅客列車を運行する第1種鉄道事業者で、JR貨物はJR東日本から線路を借りて貨物列車を走らせる第2種鉄道事業者になっている。

検討委の報告書によると、貨客併用のケースA・Bは引き続き鉄道事業法に基づく鉄道路線として整備。既存施設と土地をJR東日本が引き続き保有し、新規施設の整備・保有と旅客列車の運行は第三セクターが行う。概算事業費は約450億~700億円。

貨客分離のケースC・Dは軌道法に基づく軌道線として旅客線を新設。葛飾区がJRから土地を取得したうえで新規施設を整備、保有し、第三セクターが旅客列車を運行する。概算事業費は約700億~800億円。

バス専用道のケースE・Fも葛飾区がJRから土地を取得したうえで新規施設を整備・保有。第三セクターまたは民間がバスを運行する。概算事業費は約320億~560億円。

開業時期

開業時期は未定で事業化のめども立っていないが、葛飾区が事業化を目指して調査や関係者との協議を進めている。検討委がまとめた報告書の6ケースは一長一短で課題がそれぞれ異なることから、葛飾区が6ケースを精査したうえで一つに絞るとみられる。

データ

■現状

◆第1種鉄道事業免許(1987年4月1日) ※国鉄線継承、みなし第1種鉄道事業許可
第1種鉄道業者:東日本旅客鉄道(旅客運送)
線名:総武本線
区間:小岩~新小岩信号場~金町
距離:8.9km
種類:普通鉄道
動力:電気(直流1500V)
軌間:1067mm
単複:単線
備考:定期列車の旅客列車は運行していない

◆第2種鉄道事業免許(1987年4月1日) ※国鉄線継承、みなし第2種鉄道事業許可
第2種鉄道事業者:日本貨物鉄道(貨物運送)
区間:新小岩信号場~金町
距離:6.6km

■葛飾区構想

※葛飾区『新金貨物線旅客化の検討資料』(2019年3月)
※新金線旅客化検討委員会『新金線旅客化検討委員会報告書』(2025年1月)など

区間・駅(2018年度案):新小岩~東新小岩~奥戸~細田~(南高砂)~高砂~(北高砂)~新宿~(西金町)~金町 ※カッコは7駅案では設置されない駅
距離:約7.1km

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