上越新幹線の延伸:新宿~大宮

上越新幹線は、東京都と新潟市を結ぶ新幹線鉄道の建設線。東京都内のターミナルは新宿駅に置くことが構想されたが、当面は東北新幹線の線路を共用して東京駅に乗り入れることになったため、大宮~新潟のみ着工して1982年11月15日に開業した。このため新宿~大宮が未開業のままとされている。

ルート

ルートは確定していない。

1971年10月14日に大宮~新潟の工事実施計画が認可された時点では、大宮以南の埼玉県内は東北新幹線・上越新幹線ともに地下トンネルを整備する計画だった。しかし予定ルート上は地盤の沈下や隆起が激しいことから高架橋で建設する方針に変更している。

1973年3月10日に国鉄が地元に示した案などによると、新宿駅から地下トンネルで山手線と赤羽線(現在の埼京線)に並行するようにして北上。赤羽駅の手前で地上に出て高架橋で赤羽駅の上方を通り抜ける。

赤羽駅から先は東北貨物線の敷地を転用した「新幹線A」と、「新幹線A」から西へ2~3km離れたところに通勤別線(現在の埼京線)を併設した「新幹線B」を建設。大宮駅の手前で「新幹線A」「新幹線B」が合流する。大宮駅では上越新幹線だけでなく東北新幹線の列車も新宿駅を発着できるよう線路を配線する。

上越新幹線・新宿~大宮で想定されるルートの一つ。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

1973年3月10日に示された案のうち「新幹線B」が1985年3月14日、東北新幹線・上野~大宮のルートの一部として開業している。未開業の「新幹線A」を上越新幹線の新宿乗り入れルートとした場合、赤羽駅で東北新幹線(新幹線B)と上越新幹線(新幹線A)の交差が発生する。このため、「新幹線A」の完成時に東北新幹線を「新幹線A」に移し、それによって空いた「新幹線B」を上越新幹線に転用することが考えられていたと思われる。

ほかに2005年、自民党の整備新幹線等鉄道基本問題調査会が大深度地下トンネルで整備する案を示したことがある。距離は最短で27kmとされていた。

事業方式

現行法令上、上越新幹線は建設主体が鉄道・運輸機構、営業主体がJR東日本とみなされている。ただし構想されてから相当な歳月が経過しており、実際に事業着手する場合は事業方式が変わることも考えられる。

費用

2005年の大深度地下トンネル案では工期7~8年で約6000億円とされていた。

効果

2005年の大深度地下トンネル案では、地上での騒音が発生せず高速運行が可能になることから、新宿~大宮の所要時間を10分としていた。東北新幹線の東京~大宮(24分)に比べ10分程度短縮される。

東北新幹線の東京~大宮は東北新幹線だけでなく北海道・秋田・山形・上越・北陸の各新幹線の列車が乗り入れており、新幹線ネットワークの拡大で線路容量が不足するのではとの指摘が以前からある。新宿~大宮を建設した場合、東京のターミナルが東京駅と新宿駅に分散し、線路容量不足の大幅な緩和が図られる。

実現の可能性

実現の可能性は低い。膨大な費用がかかることに加え、建設を求める動きもほとんどない。

1973年の案で「新幹線A」の建設用地とされた東北貨物線は、湘南新宿ラインなどの在来線旅客列車が高頻度で運行されるようになり、新幹線の建設は事実上不可能になった。JR東日本は北陸新幹線の建設の際、容量不足対策として新宿駅にターミナルを設ける案も検討したが、建設費の問題から東京駅の改良によるホーム増設で対応している。

データ

◆基本計画決定(1971年1月18日)
◆整備計画決定(1971年4月1日)

営業主体:東日本旅客鉄道(JR東日本)
建設主体:鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)
線名:上越新幹線
区間:東京都~大宮
距離:約27km ※2005年の自民党案による