東京メトロ有楽町線の延伸は、東京メトロが運営する8号線(有楽町線)から分岐して延伸する計画・構想。豊洲~住吉の区間が事業化され工事に着手しており、住吉~押上は東京メトロ半蔵門線との共用区間で開業済み。残る押上以北が構想区間になる。「東京直結鉄道」とも呼ばれる。
ルート
ルートは確定していない。2016年の交通政策審議会答申第198号では、押上駅から東京都内の四ツ木、亀有を経て千葉県野田市に至るルートが設定されている。このうち押上~四ツ木は半蔵門線の松戸延伸構想と線路を共用する。亀有で常磐線、野田市で東武野田線との連絡を図ることが考えられる。
沿線自治体で構成される「地下鉄8号線建設促進並びに誘致期成同盟会」は埼玉県内のルートについて、つくばエクスプレス線の八潮駅から武蔵野線の越谷レイクタウン駅を経て東武野田線の野田市駅まで9駅(八潮駅と野田市駅を含む)のルートを推進しており、一部の区間では東埼玉道路との一体的な整備を想定している。また、八潮~野田市を先行整備し、つくばエクスプレス線との相互直通運転を図ることを目指している。
野田市から先は利根川を渡って茨城県内西南部に入る。沿線自治体で構成される協議会が2014年度に実施した調査では、野田市から坂東市、常総市、八千代町を経て下妻市内の関東鉄道常総線・大宝駅に至るルートを設定して検討した。
運行計画
運行計画は未定。埼玉の期成同盟会が2013・2014年度に実施した事業化検討調査によると、八潮~野田市を先行整備してつくばエクスプレス線との連絡を図る場合、秋葉原~野田市の所要時間は直通運転で33分、乗り換えで39分としている。茨城の協議会が2014年度にまとめた調査では、秋葉原~大宝(つくばエクスプレス線直通)の所要時間は1時間としている。
事業方式
事業方式は未定。東京メトロは営団地下鉄時代の1982年に豊洲~住吉~押上~亀有の地方鉄道免許(現在の第1種鉄道事業許可)を申請したが、免許(許可)を受けないまま現在に至っている。ただし豊洲~住吉は2022年に第1種鉄道事業許可を受けて事業化。住吉~押上は半蔵門線として2003年に開業している。
埼玉の期成同盟会は八潮~野田市の先行整備について、速達性向上事業として都市鉄道利便増進事業費補助制度の適用を目指している。この場合、営業主体と整備主体を分離し、営業主体が受益の範囲内で線路使用料を支払う受益活用型上下分離方式を採用することになる。
交通政策審議会が2016年にまとめた分析結果では、押上~野田市の総事業費は5800億円とされた。野田市が実施した概算事業費の試算(2018年度価格)によると、八潮~野田市の先行整備はつくばエクスプレス線との相互直通運転を図る場合で2800億円、乗り換えの場合は2500億円としている。
開業時期
一部区間の先行整備も含め、開業時期は未定で事業化のめども立っていない。交通政策審議会が2030年ごろの東京圏の都市鉄道を念頭に置いて取りまとめた答申第198号(2016年)では、事業性に課題があるとしている。
データ
●豊洲~亀有
■地方鉄道免許(第1種鉄道事業許可)申請(1982年1月29日)
第1種鉄道事業者:東京地下鉄(東京メトロ)
線名:8号線
区間:豊洲~亀戸
距離:14.7km
種類:普通鉄道
動力:電気(直流1500V)
軌間:1067mm
単複:複線
開業予定時期:-
備考:豊洲~住吉は事業化、住吉~押上は半蔵門線として開業、押上~亀戸は未許可
●押上~野田市
■交通政策審議会答申第198号(2016年4月20日)
■交通政策審議会「鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果」(2016年7月15日)
線名:東京8号線の延伸(単独整備)
区間:押上~四ツ木~亀有~野田市 ※押上~四ツ木は東京11号線(東京メトロ半蔵門線)と共用
距離:30.5km
●八潮~野田市
■期成同盟会の事業化検討調査(2013・2014年度)
区間・駅:1駅(八潮)~2駅~3駅~4駅~5駅(レイクタウン)~6駅~7駅~8駅~9駅(野田市)
●野田市~大宝
■東京直結鉄道茨城県西南部延伸整備検討調査(2014年度)
区間・駅:1駅(野田市)~2駅(坂東市)~3駅(坂東市)~4駅(常総市)~5駅(八千代町)~6駅(下妻市、関東鉄道常総線・大宝駅)
距離:35.5km