東海道貨物支線の貨客併用化:品川・東京テレポート~桜木町

東海道貨物支線の貨客併用化は、東海道本線貨物支線などに旅客列車も走らせようとする神奈川県などの構想。京浜間の既存路線の混雑緩和や京浜臨海部の利便性向上、沿線の活性化を図る。

ルート

東海道貨物支線貨客併用化の想定ルート(赤=新線整備区間、緑=既設線活用区間)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

東京都内の品川駅や東京テレポート駅から京浜臨海部を縦断し、横浜市内の桜木町駅に至る。神奈川県などで構成される東海道貨物支線貨客併用化整備検討協議会が想定している検討ルートによると、全長約33kmのうち約18kmは既設線の活用で、残り約15kmは新線を整備する。新線整備区間の詳細なルートは固まっていない。

品川駅から東京貨物ターミナル駅付近までは新線を建設。東京貨物ターミナル駅付近~浜川崎駅付近は既設の東海道本線貨物支線を活用する。浜川崎駅付近からは鶴見線に沿うようにして新線を整備。東海道本線貨物支線の高島貨物線に合流して桜木町駅に至る。

東京テレポート駅からは、東京臨海高速鉄道りんかい線の車両基地回送線を活用して東京貨物ターミナル駅付近に至る。この車両基地回送線は羽田空港アクセス線の臨海部ルート(構想)としても活用することが考えられている。

旅客列車が停車する駅としては、少なくとも8駅を想定。いずれの駅も既存路線や計画路線との接続・連絡が考えられる。

運行計画

運行計画は未定。協議会の想定によると、所要時間は品川~浜川崎が現状24分のところ8分短縮の16分、浜川崎~桜木町が現状29分のところ17分短縮の12分になる。東京テレポート~桜木町は現在の43分から14分短縮の29分。

事業方式

事業方式は未定。都市鉄道利便増進事業として整備することが考えられる。2016年に交通政策審議会がまとめた検討結果によると、総事業費は5500億円。

品川~桜木町のうち既設区間は、JR東日本が線路を保有して旅客列車を運行する第1種鉄道事業者。ただし臨時列車のみの運行で定期運行を旅客列車は現在運行していない。JR貨物はJR東日本から線路を借りて貨物列車を走らせている。

東京テレポート~東京貨物ターミナルの車両基地回送線は、りんかい線の第1種鉄道事業者である東京臨海高速鉄道が管理している。

開業時期

開業時期は未定で事業化のめども立っていない。交通政策審議会が2016年に策定した答申第198号は事業性に課題があるとし、需要創出につながる沿線開発などが必要との意見を付けている。

神奈川県・横浜市・川崎市・東京都・大田区・品川区は1998年に東海道貨物支線貨客併用化整備検討協議会を設立。関係者への要望活動などを行っている。2013年には東海道本線貨物支線で旅客調査列車(団体臨時列車)を運行した。

データ

※交通政策審議会『鉄道ネットワークのプロジェクトの検討結果』(2016年7月15日)
※東海道貨物支線貨客併用化整備検討協議会『人もモノも運ぶ新しい鉄道に夢を乗せて』(2024年4月)

■全体

距離:約33km(既設18km、新線15km)

■品川~桜木町

区間・駅:品川~天王洲アイル~東京貨物ターミナル~天空橋~塩浜~浜川崎~桜木町

■東京テレポート~東京貨物ターミナル

区間・駅:東京テレポート~東京貨物ターミナル

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