北海道新幹線(札幌以南)の延伸

概要

北海道新幹線は、青森県青森市から北海道札幌市を経て北海道旭川市を結ぶ新幹線鉄道の建設線。このうち青森市から札幌市までが、いわゆる「整備新幹線」5線のうちの一つ。津軽海峡の青函トンネルを含む新青森~新函館北斗間の148.8kmが2016年3月に開業した。現在は在来線の函館本線に並行する新函館北斗~札幌間の211.5kmが2030年度末(2031年春)の開業を目指して工事が進められている。

北海道新幹線(札幌以南)の路線図。【作成:運営部(K)/『カシミール3D 地理院地図+スーパー地形』を使用】
北海道新幹線(札幌以南)の路線図。【作成:運営部(K)/『カシミール3D 地理院地図+スーパー地形』を使用】

鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が建設主体として工事を進めており、完成後は営業主体の北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営する。新函館北斗~札幌間の建設費総額は約1兆6700億円。

函館本線・発寒駅のホームから札幌方向を望む。発寒駅付近から札幌駅まで函館本線に並行して北海道新幹線の高架橋を整備する計画だったが、2017年に札幌駅の少し手前まで地下トンネルを整備する計画に変わった。【撮影:2003年5月18日、運営部(T)】
函館本線・発寒駅のホームから札幌方向を望む。発寒駅付近から札幌駅まで函館本線に並行して北海道新幹線の高架橋を整備する計画だったが、2017年に札幌駅の少し手前まで地下トンネルを整備する計画に変わった。【撮影:2003年5月18日、運営部(T)】

最高速度は法令で定められた260km/h。ただし、開業済みの新青森~新函館北斗間のうち在来線と線路を共用している青函トンネル区間は、新幹線旅客列車と在来線貨物列車のすれ違い時に風圧で荷崩れが発生する恐れがあるとして、最高速度が160km/h(2019年3月までは140km/h)に抑えられている。

開業後は現在と同様、東日本旅客鉄道(JR東日本)が運営する東北新幹線との直通運転が行われ、東京~札幌間を直通する列車が走る。所要時間は新函館北斗~札幌間が1時間13分、新青森~札幌間が2時間18分、東京~札幌間が5時間1分と想定されており、現在の在来線利用または新幹線と在来線の乗り継ぎに比べ1時間半~2時間ほど短縮される。

JR東日本は北海道新幹線の札幌開業を見据え、360km/hで営業運転することができる車両の導入を目指しており、2019年5月に試験車両のE956形「ALFA-X(アルファ・エックス)」が完成。2022年3月まで試験走行が行われる計画。JR北海道も2019年4月に発表した長期経営ビジョンで、東京~札幌間の所要時間を現在の想定より30分ほど短い4時間半程度にするとの目標を盛り込んでいる。

なお、札幌駅のホームは在来線の1・2番線ホームを転用することが考えられていたが、JR北海道が在来線の運行に支障があるとして別の位置に整備することが検討され、最終的に在来線ホームの東側に新幹線用のホームを新設することになった。

札幌駅の在来線1・2番線ホーム。このホームを北海道新幹線のホームに転用する計画だったが、現在は現在の札幌駅の東側に新幹線ホームを整備する計画に変わっている【撮影:2003年5月17日、運営部(T)】
札幌駅の在来線1・2番線ホーム。このホームを北海道新幹線のホームに転用する計画だったが、現在は現在の札幌駅の東側に新幹線ホームを整備する計画に変わっている【撮影:2003年5月17日、運営部(T)】

並行在来線は、函館本線・函館~長万部~小樽間の252.5kmを北海道新幹線の開業にあわせてJRから分離し、第三セクター化することが決まっている。小樽~札幌間は引き続きJR北海道が運営する。

北海道と沿線15市町は2012年に北海道新幹線並行在来線対策協議会を設置し、運営形態の検討や調整が進められている。2011年に北海道が実施した予測調査によると、経営分離区間の普通列車の輸送密度は全体で265人とされており、厳しい経営が予想される。

なお、開業済みの新青森~新函館北斗間に並行するJR在来線のうち、江差線の五稜郭~木古内間は第三セクターの道南いさりび鉄道に移管された。津軽線は引き続きJR東日本が運営している。北海道新幹線と線路を共用している海峡線もJR北海道が引き続き運営しているが、定期運転の旅客列車は北海道新幹線の開業にあわせて廃止され、現在はJR貨物が運行する貨物列車と、JR東日本の豪華寝台列車(クルーズトレイン)「TRAIN SUITE 四季島(トランスイート四季島)」などの臨時旅客列車が走るだけとなっている。

経緯

日本では1964年10月に日本国有鉄道(国鉄)が開業した東海道新幹線の成功をきっかけに、新幹線を始めとした高速交通ネットワークの整備を図ろうとの機運が高まった。政府は1969年5月に新全国総合開発計画(新全総)を策定。札幌市から福岡市までの約2000kmに日本列島の主軸を形成する高速交通施設を整備するものとし、その一環として本州から青函トンネルを経由して札幌市に至る新幹線の建設が盛り込まれた。

その後、全国新幹線鉄道整備法に基づき青森市から札幌市に至る北海道新幹線の建設が計画され、1972年6月の基本計画決定を経て1973年11月には整備計画が決まった。これを受け、在来線用のトンネルとして調査が進められていた青函トンネルは、新幹線も通れる構造で建設する計画に変更され、1972年9月から本格的な工事に着手している。

しかし、整備計画決定の直前に発生した第1次オイルショックによる総需要抑制政策で着工は見合わせられ、1982年9月には国鉄の経営悪化を受けて整備新幹線全線の着工凍結が閣議決定された。このため青函トンネルは1988年3月、在来線(海峡線)単独のトンネルとして開業している。

国鉄分割民営化の道筋が定まった1987年1月には着工凍結を解除する閣議決定が行われ、日本鉄道建設公団(鉄道公団、現在の鉄道・運輸機構)は1998年10月より環境影響評価に関する調査を実施。2002年1月には環境影響評価書の提出とあわせて工事実施計画認可を申請した。その後、2004年12月の政府与党申し合わせにより2005年度から新青森~新函館北斗間の部分整備に着手することが決定。2005年5月から工事が始まり、2016年3月に開業した。

新函館北斗~札幌間は1998年2月に駅とルートが公表され、同年10月から環境影響評価に着手。2002年1月には環境影響評価が終了して工事実施計画の認可申請も行われたが、財政難と高額な建設費の問題もあって着工のめどは立たなかった。このため、一時は長万部~札幌間の部分整備やスーパー特急方式での整備なども考えられた。

しかし、2012年4月には整備新幹線の貸付料収入を財源とすることなどが決められ、同年6月の工事実施計画認可を経て着工した。この時点では2035年度の開業が予定されていたが、2015年1月には開業時期を5年前倒しすることで政府と与党が合意し、2030年度の開業予定に変更された。

データ(新函館北斗~札幌)

線名北海道新幹線
営業主体北海道旅客鉄道
建設主体鉄道建設・運輸施設整備支援機構
区間・駅新函館北斗(北海道北斗市)
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新八雲(仮称、北海道二海郡八雲町)
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長万部(北海道山越郡長万部町)
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倶知安(北海道虻田郡倶知安町)
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新小樽(仮称、北海道小樽市)
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札幌(北海道札幌市)
距離211.5km
軌間1435mm
動力電気(交流2万5000V/50Hz)
単線・複線複線
開業予定時期2030年度

進ちょく状況 (新函館北斗~札幌)

1972年6月29日基本計画決定
1973年11月13日整備計画決定
2002年1月8日工事実施計画(その1)認可申請
2012年6月12日工事実施計画(その1)追加認可申請
2012年6月29日工事実施計画(その1)認可、着手