都営大江戸線の延伸

概要

東京都交通局の都営地下鉄12号線(都営大江戸線)は、都庁前駅から新宿、汐留、両国、上野広小路、飯田橋の東京都心各駅を周回して都庁前駅に戻り、そのまま郊外の光が丘駅まで延びる鉄輪式のリニアモーター地下鉄。光が丘駅からさらに埼玉方面に延伸し、武蔵野線の東所沢駅に接続させる構想がある。

東京都の都市計画道路補助230号線の予定地。この下に都営大江戸線の地下トンネルを建設することが想定されている。【画像:2011年11月、草町義和】

延伸区間の整備事業者や運営事業者、事業費の調達方法などは未定で、いつ着工して開業するのかも決まっていない。延伸区間のうち東京都内の光が丘~大泉学園町間は、導入空間として想定されている道路の整備が進められている。

沿線自治体で構成される都市高速鉄道12号線延伸促進協議会が2013年3月に公表した調査研究報告書などによると、光が丘~大泉学園町間は、現在整備が進む東京都市計画道路補助第233号線の地下にトンネルを設置し、土支田・大泉町・大泉学園町の3駅を新設することが想定されている。大泉学園町~東所沢間は、新座中央駅と清瀬北部駅、東所沢駅を設置することが想定されており、一部は高架構造で建設することも考えられている。事業費の概算は、全線地下の場合で1914億円、一部高架構造は1856億円と算出されている。

光が丘~東所沢間の所要時間は、表定速度を40km/hとした場合で18分。運行本数は朝ラッシュ時の上り方向を1時間あたり10本、昼間時を1時間あたり5本と想定されている。

経緯

都営大江戸線は1968年の都市交通審議会答申第10号(都交審10号答申)で、新宿方面~春日町~上野~深川・月島~麻布方面が東京12号線として盛り込まれた。

補助230号線の予定地。【撮影:2011年11月、草町義和】

続く1972年の都市交通審議会答申第15号(都交審15号答申)では、東京12号線の整備区間が拡大。新宿~西大久保~春日~御徒町~蔵前~森下町~門前仲町~浜松町~麻布~六本木~青山~信濃町~代々木~新宿~西落合~練馬~高松町(現在の光が丘)間と西落合~護国寺間を整備区間とし、さらに高松町から大泉方面への延伸も検討するものとした。

これを受けて東京都は1974年8月、現在の光が丘~都庁前~上野御徒町~両国~汐留~新宿~都庁前間の地方鉄道免許を取得。しかし、オイルショックや東京都交通局の財政悪化から、計画は凍結された。

1985年に都交審15号答申に代わる基本計画として策定された運輸政策審議会答申第7号(運政審7号答申)では、整備区間から西落合~護国寺間を削除するとともに、光が丘以遠の延伸区間を大泉学園町までとし、さらに埼玉県の新座市方面への延伸も検討するものとした。1974年に免許を受けた区間は1986年に着工。リニアモーターで走る鉄車輪式地下鉄を採用し、1991年から2000年にかけて開業している。

運政審7号答申に続く2000年の運輸政策審議会答申第18号では、光が丘~大泉学園町間が「目標年次(2015年)までに整備着手することが適当」な路線とされ、大泉学園町~武蔵野線方面が「今後整備について検討すべき路線」として盛り込まれた。

光が丘~大泉学園町間では導入空間となる都市計画道路の計画と工事が進み、大泉学園町以遠も沿線自治体の検討が進められ、武蔵野線の東所沢駅まで延伸する案の採用がほぼ固まったが、建設費や採算性の問題などから、2015年までには具体化しなかった。

都営大江戸線のルート。赤は延伸区間(有力案)。作成:運営部(K)/『カシミール3D 地理院地図+スーパー地形』を使用】

2016年4月にまとめられた交通政策審議会答申第198号(交政審198号)では、光が丘~大泉学園町~東所沢間が盛り込まれた。このうち光が丘~大泉学園町間は、事業化を前提として関係自治体や鉄道事業者の費用負担のあり方などについて合意形成を進めるべきという強い調子の意見が付けられた。残る大泉学園町~東所沢間は、東京都と埼玉県にまたがる路線であることから、事業主体も含めた計画の検討を求めている。

データ(有力案)

区間・駅光が丘(東京都練馬区)
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土支田(仮称、東京都練馬区)
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大泉町(仮称、東京都練馬区)
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大泉学園町(仮称、東京都練馬区)
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新座中央(仮称、埼玉県新座市)
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清瀬北部(仮称、東京都清瀬市)
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東所沢(埼玉県所沢市)
距離約12km(光が丘~大泉学園町間は約4.2km)