七隈線の都心側を延伸し、博多駅に連絡する計画。
福岡市は1961年に取りまとめた総合計画で高速鉄道の整備を提言した。この時点では市西部の西新、原地区から福岡市の中心部である天神地区を経由して国鉄博多駅に至る路線と、原地区や市南部の長尾地区から高宮地区を経由して国鉄博多駅に至る路線を盛り込み、この2路線で環状路線を形成するものとしていた。
1966年の総合計画第1次改定では、藤崎~片江~長尾~大橋~国鉄博多駅~千代町~天神~西新~藤崎間の環状路線が盛り込まれたが、1971年の総合計画第2次改定で(1)都心部から西部、西南部に至る路線、(2)都心部から箱崎方面に至る路線、(3)都心部から福岡空港に至る路線、(4)都心部と南部、西南部住宅地を結ぶ環状路線の4路線を盛り込み、このうち(1)~(3)のルートは道路交通問題の抜本的な改善を図るため1970年代末期~1980年代初頭までに整備することを求めた。
また、運輸省の諮問機関である都市交通審議会が1971年3月11日に取りまとめた12号答申でも環状路線を除外した3路線を盛り込み、さらに西南部方面に至る路線は国鉄筑肥線と、箱崎方面に至る路線は西鉄宮地岳線(現・貝塚線)とそれぞれ相互直通運転を実施することを検討するものとした。
こうした状況を受け、福岡市は(1)と(3)を一本化したルート(1号線)のうち姪浜~天神~国鉄博多駅間と(2)のルート(2号線)を緊急に整備することとし、環状路線(3号線)は緊急整備区間の完成後に着手することを決めた。
建設方式は高架と地下、機種は普通鉄道とモノレールが比較検討されたが、1・2号線は相互直通運転も検討されていたことから地下方式による普通鉄道を採用することになり、3号線については今後検討を進めていくことにした。
こうして1・2号線が順次着工し、1993年3月3日までに1号線(空港線)姪浜~博多~福岡空港間と2号線(箱崎線)中洲川端~貝塚間が開業している。
空港線と箱崎線の進ちょくを機に3号線の検討も本格化したが、1991年2月には放射部ルートとして野芥から七隈、別府、六本松、渡辺通を経由して天神またはJR博多駅に至る路線が適当とされ、車両基地は橋本もしくはその周辺に置き、天神~ウォーターフロント間の延伸や環状路線の構築などは将来の検討課題とした。また、機種については地下鉄を採用しつつ、建設費削減を図るため鉄車輪リニアモーター駆動の中量輸送向け地下鉄(リニア地下鉄)が1994年2月に選定された。
こうしてリニア地下鉄による3号線(七隈線)の建設が決定し、橋本~天神南間を先行整備区間として1995年に着工、2005年2月3日に開業した。
その後、延伸区間の選定に入り、天神南駅から中洲川端駅付近を経てウォータフロントに伸ばすWFルート案(約2.3km)と、薬院駅から分岐して博多駅へ伸ばす博多駅ルート案(約2.5km)の2案が検討されてきたが、2009年1月には天神南~キャナルシティ博多~博多駅のキャナルシティ案が浮上。他の2案に比べて採算性が高い同案によって建設する方針が固まり、福岡市は2012年4月に鉄道事業許可を申請した。
事業者 | 福岡市交通局 |
線名 | 3号線<七隈線> ※延伸 |
区間・駅 | 天神南~※新駅(仮称等の設定は未確認)~博多 |
距離 | 1.6km |
種別 | 第1種鉄道事業 |
種類 | 普通鉄道(リニアモーター駆動) |
軌間 | 1435mm |
動力 | 電気(直流1500V) |
単線・複線 | 複線 |
開業予定時期 | 2020年度 |