神奈川東部方面線(相鉄・JR直通線)

概要

※2019年11月30日開業済み

相鉄・JR直通線は、神奈川東部方面線の西側を構成する路線。相模鉄道(相鉄)とJR東海道本線の貨物支線(羽沢線)をつなぐ新線として、2019年11月30日に開業する。同時に相鉄と東日本旅客鉄道(JR東日本)による相互直通運転が始まり、相鉄線と東京都心を直通する列車が運行される。

SENS工法を採用した相鉄・JR直通線の西谷トンネル。【撮影:2016年12月、草町義和】

新線の営業区間は、相鉄本線の西谷駅から、羽沢線内の貨物駅(横浜羽沢駅)に隣接する羽沢横浜国大駅までの2.1km。羽沢横浜国大駅と羽沢線を接続する線路(約600m)も整備される。設計上の最高速度は120km/h。鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が建設し、相鉄が運営する。

直通列車は羽沢横浜国大駅から羽沢線に入り、鶴見駅付近からは横須賀線や湘南新宿ラインの列車が走る東海道本線貨物支線(品鶴線)へ。さらに埼京線や湘南新宿ラインの列車が走る山手線の貨物線路(山手貨物線)を走り、新宿方面に直通する。

直通列車の運転本数は1日46往復。朝のピーク時には毎時4本程度、日中は毎時2~3本程度の運行で、夕方から夜間にかけては毎時3本程度の運行となる。

ほとんどの列車の運転区間が海老名~新宿間だが、一部の列車(6往復)は新宿以北にも乗り入れて、埼京線の赤羽駅や武蔵浦和駅、大宮駅、川越線の川越駅を発着する。相鉄いずみ野線からの直通列車は設定されない。

相鉄線内は特急または各駅停車として運行。JR線内(新宿以南)では途中、武蔵小杉・西大井・大崎・恵比寿・渋谷の各駅に停車する。新宿以北は快速または普通列車として運転される。

直通列車の車両は、JR東日本が埼京線の通勤形電車のE233系を使用。相鉄は相互直通運転の開始に備えて導入した新型の通勤形電車12000系を使う。どちらも10両編成で、グリーン車は連結しない。

相鉄・JR直通線の路線図。相鉄線とJRの貨物線(羽沢線)をつなぐ新線(濃い赤)を建設し、相鉄線と東京都心を直通する列車(薄い緑のルート)を運行する。 【作成:運営部(K)/『カシミール3D 地理院地図+スーパー地形』を使用】
相鉄・JR直通線の路線図。相鉄線とJRの貨物線(羽沢線)をつなぐ新線(濃い赤)を建設し、相鉄線と東京都心を直通する列車(薄い緑のルート)を運行する。 【作成:運営部(K)/『カシミール3D 地理院地図+スーパー地形』を使用】
相鉄とJR東日本の接続駅となる羽沢横浜国大駅。【撮影:2016年12月、草町義和】

おもな区間の最短所要時間は、二俣川~新宿間が44分、大和~渋谷間が45分、海老名~武蔵小杉間が36分。二俣川~新宿間の場合、現在の相鉄本線~JR湘南新宿ライン(横浜駅乗り換え)などより数分から15分程度短縮され、乗り換えの手間も解消される。

経緯

運輸大臣の諮問機関だった都市交通審議会が1966年7月15日、川崎・横浜地区の鉄道整備計画を答申(都交審9号答申)。このなかで新設すべき路線として5本の鉄道路線が盛り込まれたほか、茅ヶ崎~六合付近~二俣川付近~勝田付近~東京方面間を結ぶ6号線が検討すべき路線として盛り込まれた。

このうち二俣川以西は、ほぼ同じルートとなる二俣川~平塚間の地方鉄道業免許を相鉄が取得。1976年4月から1999年3月にかけて二俣川~湘南台間が開業している。

二俣川以東は、1985年7月11日の運輸政策審議会答申第7号で、二俣川~鶴ヶ峰~上菅田町~新横浜~大倉山間と新横浜~下末吉~川崎~臨海部方面間が新設路線として盛り込まれた。2000年1月の運輸政策審議会答申第18号では臨海部方面への路線が削除され、二俣川~新横浜~大倉山間を神奈川東部方面線として、2015年度までに整備することが適当である路線とされた。

その後、乗り換えの解消や所要時間の短縮を図るための新線の整備に公的支援を行おうという動きが高まり、2004年には神奈川東部方面線の一部を整備して相鉄線とJR線の直通化を図る構想が浮上した。

2005年に都市鉄道等利便増進法が公布されて公的支援が法制化さると、相鉄・JR直通線を同法に基づき速達性向上事業として整備することになり、2006年の整備構想・営業構想認定と速達性向上計画認定、2009年の工事施行認可を経て着工した。

着工した時点では2015年4月の開業が予定されていた。しかし、相鉄・JR直通線と羽沢線の線路を接続する部分では、羽沢線で営業運転の貨物列車が走っていることから、工事時間の確保が難航。これに加えて用地買収の難航などもあり、まず2014年3月に開業予定時期が2018年度内に変更された。さらに2017年3月にも、地質が当初の想定より悪いなどの理由から、開業予定時期が2019年度下半期に再度変更された。

総事業費も工事方法の変更や建設資材の高騰などで増額。当初は682億円とされていたが、2014年3月には100億円高い782億円に変更され、さらに2017年3月には約300億円増額の1114億円に変更された。

2022年度下期には、羽沢横浜国大~新横浜~日吉間の約10.0kmを結ぶ相鉄・東急直通線が開業する予定。相鉄・JR直通線を介して相鉄線と東急線の相互直通運転も行われる。営業上は新横浜駅を境に相鉄と東急の路線に分かれ、西谷~羽沢横浜国大~新横浜間が「相鉄新横浜線」、新横浜~日吉間が「東急新横浜線」になる。

データ

事業者認定営業構想事業者:相模鉄道
認定整備構想事業者:鉄道建設・運輸施設整備支援機構
線名相鉄・JR直通線(相鉄新横浜線の西谷~羽沢横浜国大間)
区間・駅西谷(神奈川県横浜市保土ケ谷区)
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羽沢横浜国大 (神奈川県横浜市神奈川区)
距離2.1km(ほかに羽沢横浜国大駅と羽沢線を接続する線路が約600m)
種別第一種鉄道事業:相模鉄道 ※みなし許可
種類普通鉄道
軌間1067mm
動力電気(直流1500V)
単線・複線複線
開業予定時期2019年11月30日
備考都市鉄道等利便増進法に基づく速達性向上計画

進ちょく状況

2006年5月25日営業構想認定申請(相模鉄道)
2006年5月25日整備構想認定申請(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
2006年6月9日営業構想認定(相模鉄道)
2006年6月9日整備構想認定(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)
2006年8月31日速達性向上計画認定申請
2006年11月21日速達性向上計画認定
2009年3月24日工事施行認可申請
2009年7月23日※参考:分割認可申請(相模鉄道→相鉄準備会社)
2009年8月25日※参考:分割認可(相模鉄道→相鉄準備会社)
2009年9月16日※参考:分割(相模鉄道→相鉄準備会社)
2009年9月16日※参考:名称変更(相模鉄道→相鉄ホールディングス)
2009年9月16日※参考:名称変更(相鉄準備会社→相模鉄道)
2009年10月20日工事施行認可
2014年3月25日速達性向上計画変更認定(開業時期の変更など)
※相鉄・東急直通線の速達性向上計画と統合
2017年3月13日速達性向上計画変更認定(開業時期の変更など)