富山港線の延伸(富山駅の路面電車・LRT南北接続)

富山駅北停留場/奥に見える富山駅の高架下(写真撮影時は高架化が一部未完成)に軌道が延びる。【撮影:2015年5月22日、草町義和】

富山港線は富山駅の北口側にある富山駅北停留場と、富山市北部の富山湾に近い岩瀬浜駅を結ぶ、富山ライトレールの軽量軌道交通(LRT、いわゆる「次世代型路面電車」)。富山駅の在来線高架下に延伸する工事が進められており、2020年3月21日に開業する。

開業と同時に、富山駅の南口側を走る富山地方鉄道(富山地鉄)の路面電車線(富山軌道線)と接続して直通運転を開始する。これに先立つ2020年2月22日には、富山地鉄が富山ライトレールを吸収合併。経営上も南北の路面電車・LRTが一体化する。

概要

現在の富山駅北停留場から0.1km延ばし、富山駅の在来線高架下に富山駅停留場を設ける。同停留場に隣接する北陸新幹線の高架下にも富山軌道線の富山駅停留場があり、これと接続して一体化。富山港線と富山軌道線の直通運転が行われる。富山駅北停留場は事実上廃止され、富山駅停留場と統合される形になる。国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』によると、建設費予算額は10億2700万円。

南北接続後の富山港線の電車は、すべて富山軌道線への直通運行になり、岩瀬浜~南富山駅前間と岩瀬浜~環状線、岩瀬浜~大学前間の3系統が運行される。朝ラッシュ時は岩瀬浜~南富山駅前・大学前間の2系統を1時間に6本運転。それ以外の時間帯は1時間4本で、内訳は岩瀬~環状線が2本、岩瀬浜~南富山間が1本、岩瀬浜~大学前間が1本になる。

普通旅客運賃は210円(ICカードは180円)の均一制。会社合併に伴い、富山港線と富山軌道線を直通電車でまたいで乗る場合も210円になり、事実上いまの半額になる。

経緯

南北接続のきっかけとなったのは富山駅の高架化プロジェクトで、同駅とその前後の線路を高架化する構想が1990年代に浮上した。ただ、都市部の鉄道路線の高架化は通常、踏切の解消を目的に国や自治体が道路特定財源(現在は一般財源)を使って整備する連続立体交差事業(連立事業)として行われるが、富山駅周辺の道路は地上の線路をまたぐ形ですでに高架化されており、踏切がなかった。

北陸新幹線の高架下に設けられた富山地鉄富山軌道線(富山駅南北接続線)の富山駅停留場。写真奥の在来線高架下に富山軌道線の富山駅停留場と一体化する形で富山港線の富山駅停留場が設けられる。【撮影:2015年5月22日、草町義和】

2000年には連立事業の採択要件が緩和。大規模な改築予定がある既設の立体道路は踏切とみなすことになり、富山駅も連立事業として高架化することが可能になった。さらに翌2001年4月には現在の北陸新幹線・上越妙高~富山間の工事実施計画がフル規格で認可されたこともあり、北陸新幹線の工事と一体的に既設線の連立事業を行うことになった。

連立事業の実施が検討された頃、西日本旅客鉄道(JR西日本)の富山駅には北陸本線(現在のあいの風とやま鉄道線)と高山本線のほか、富山~岩瀬浜間を結ぶ富山港線も乗り入れていた。しかし、富山港線は費用面の兼ね合いから高架化を見送り。利用者も減少していたことから、一時は鉄道を廃止してバス転換することも検討された。

JR西日本は2002年頃から、富山港線の維持策としてLRT化を検討し、2003年には富山市に提案。富山駅から途中(現在の奥田中学校前駅付近)までは道路面にレールを敷く併用軌道のルートに変更し、そこから岩瀬浜駅までは富山港線の線路を活用してLRT化することが考えられるようになった。また、将来構想として富山駅の高架下に富山港線と富山軌道線に乗り入れさせて軌道を接続し、富山駅の南北の路面電車・LRTを直通させる構想も浮上した。

こうして連立事業による富山駅の高架化と富山港線LRT化の方針が固まり、連立事業は2005年6月にJR線部の事業認可を受けた。

富山港線はLRT化にあわせて富山市の第三セクターが運営を引き継ぐことになり、2004年4月に運営会社の富山ライトレールが設立。同年8月に同社が鉄道事業許可と軌道事業特許を取得し、2005年からLRT化の工事が始まった。2006年4月29日には現在の富山駅北~岩瀬浜間が富山ライトレールの路線として再開業している。

富山港線と富山軌道線の高架下乗り入れと南北接続計画も2006年頃から具体化に向けて検討が本格化。まず第1期事業として富山軌道線を北陸新幹線の高架下に乗り入れさせる区間(富山駅南北接続線)を公設民営の上下分離方式で先行整備することになった。2013年4月に「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(活性化再生法)に基づく軌道運送高度化実施計画が認定されて着工。北陸新幹線・長野~金沢間と同じ2015年3月14日に開業した。

続いて第2期事業として、富山港線の在来線高架下への乗り入れ区間に着手。手続き上は2015年12月に軌道運送高度化実施計画が認定された。在来線の高架化工事は2011年から本格化しており、北陸新幹線の開業から1カ月後の2015年4月、あいの風とやま鉄道線の上り線と高山本線が高架化。2019年3月にはあいの風とやま鉄道線の下り線の高架化も完了し、これ以降、高架下での工事が本格化している。

富山港線の延伸区間の路線図。【作成:運営部(K)/『カシミール3D 地理院地図+スーパー地形』を使用】

データ(未開業・軌道事業特許区間)

事業者軌道運送事業者:富山ライトレール(2020年2月22日以降は富山地方鉄道)
軌道整備事業者:富山市
線名(富山LRT南北接続第2期)
区間・駅富山駅(富山県富山市)
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富山駅北(富山県富山市、開業時に事実上廃止)
距離0.1km
種別軌道事業 ※みなし特許
種類軌道
軌間1067mm
動力電気(直流600V)
単線・複線複線
開業予定時期2020年3月21日
備考地域公共交通活性化再生法に基づく軌道運送高度化実施計画

進ちょく状況(未開業・軌道事業特許区間)

2015年7月28日軌道運送高度化実施計画の変更認定申請
2015年12月7日軌道運送高度化実施計画の変更認定